星占い師 つぼぼのホロスコープ星占い ブログ部

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星占い

決定打のない離婚願望

鑑定しているとさ、 “離婚したい”っていう相談はあるわけよ。

でね、夫がDVとか、浮気しているというのなら、まぁ、そのまま離婚すりゃいいんでしょうけど・・・そもそもね、夫の暴力とか浮気しているとかでね、離婚したいっていう人は、私のところなんかに来ないわね。おそらく、弁護士さんのところ。あと、親とか、親戚かな。

つまり、星占い師のところへ相談に来る人は、そうじゃない人たちなのよ。

DVも無い、浮気も無い、ギャンブルもしない、ちゃんと稼ぐ、何の問題の無い夫。

時々、そんなきちんとした旦那さんと別れたいと、私のところへいらっしゃる。

今、電車の中でこのブログを読んでいて、 “あっ、分かるぅ~” と思わず、頷いたあなたも予備軍かもね。

 

相性の星占いで鑑定する場合、いろいろな方法がある。でも、メジャーな方法は、シナストリーというやつね。2人のホロスコープチャートを重ねて、星同士のアスペクト(角度)で診断する方法のこと。

まぁ、その結果は簡単に言えば、大きく5つに分けられるわけですよ。

で、その関係を学生時代のクラスメートに例えて言うなら、

    吉角ばかり・・・いいやつ。普通に仲良しになりやすい。

    凶角ばかり・・・嫌なやつ。ケンカしそうなくらい、気が合わない。

    吉角も凶角もほとんどできない・・・3学期まで口を利かなかった、名前すら知らなかった男子。

    強い吉角・・・腐れ縁。円満な感じの腐れ縁。「サザエさん」の家族みたいな感じ。

    強い凶角・・・腐れ縁。「冬のソナタ」のような演歌の世界のカップル。

まぁ、前回のブログで軽く④と⑤については触れたけどね。

 

で、問題なのは、③の “3学期まで口を利かなかった男子” とカップルになってしまった夫婦。

3学期まで口を利かなかった男子と言うのは、特に好意もなく、干渉もない。

だから、“ええ~と、あなたの名前なんだったっけ?”という感じになる。

そんな人と結婚すると・・・ぼんやりとして、刺激が無い生活になってしまうのよねぇ。

まぁ、それで言うと、上の⑤は刺激的すぎるんだけどね。

 

じゃ、なんで、そもそもそんな“3学期まで口を利かなった男子”と結婚してしまったのか。

これは世代によって、いろいろ違ってくるみたいでね。

例えば、今、50代後半の人だと・・・あの頃はね、女性は30歳までに結婚するのが当たり前の風潮があってね。

で、その人に30歳までに星の巡りでモテ期が無かったりするとね、どうしても周囲からプレッシャーでね、適当に相手を見つけて、結婚したりしたんですよ。

 

で、これまた昔のことをしてもらいたい。

幼稚園や小学校の時ですよ。

フォークダンスをすることになってね、男女がペアになって、手をつないで踊らなきゃいけない状況になる。

で、相手を探さなきゃならない。

・本当に好きな人には、恐れ多くて、緊張して、とても “ペアになって” なんて言えない。

・かといって、触りたくもない、生理的に嫌な男子とは、手をつなぎたくない。

・そこで、適当な、当たり障りのない男子を、フォークダンスの相手として、お願いしたりする・・・みたいな。

 

これと同じようなことが結婚の時にも起こっていたりするわけですよ。

ある意味、 “賢い” やり方ではあるけどね。

 

他のパターンとして、その“3学期まで口を利かなった男子”的な夫と出会う前に、大恋愛をしていて、けれど、それがまたひどくボロボロの、破滅的に傷付くような終わり方をして・・・

そうなると、次は逆に振れてしまって、刺激はないけれど、穏やかで安心できる相手を求めてね、そんな人に求婚されたりすると、ついOKを出してしまったみたいなね。

 

で、その夫自身は、な~~~んも悪いところがない。シングルチャート、彼単体で彼自身を診ると、何の問題の無い、誰に紹介しても恥ずかしくないような人だったりする。

真面目で、浮気どころか、女遊びなどする気配も無く、ちゃんと会社勤めていて、暴力もなく・・・そりゃ、たまには口ケンカをするけどね、って感じ。趣味もそこそこちゃんと持っていたりしてね。

 

で、悪くは無いのだけれど・・・退屈なのよ。空気みたいな人なのよ。話が盛り上がらないのよ。

子供が大きくなって、やがて巣立って行って~、ああ、この人とずっと2人っきり。夫も私も定年したら、ずっと2人っきり。老後は2人っきり。家の中で2人っきり。ご飯も2人っきり。話しすることも無く2人っきり。それがたまらなくつらい。と相談にやっていらっしゃる。

 

で、周囲に離婚したいと話すと、 “えっ、どうしてぇ~?” って訊かれる。

“だって、旦那さん、悪いところないじゃないの”ってね。

親に相談しても、 “真面目な旦那さんじゃない。あんた贅沢よ。” と一蹴されるだけ。その場では、逆に反省させられるのだけれど、しばらくすると、やっぱり離婚の気持ちがよみがえってくる。

 

そもそも、こんな悩み、考え方を持つ女性は、凶角が多めの人だったりする。凶角の多い人はね、刺激を求めるのよ。また一つ、こんな想像をしてもらいたい。

険しい崖の上に宝の箱が乗っている。

吉角が多めの人は、危険を冒してまで、宝の箱を欲しいとは思わない。安泰と穏やかさ、平穏を好むからね。

でもね、凶角が多い人は違う。行っちゃうのよ。

それは、宝の箱が欲しいからじゃないのよ。

目の前に、宝の箱と崖が両方あったら、行かずにいられないのよ。

ムチを振り回して荒野を駆け巡る、女 “インディ・ジョーンズ” なのよ。

こんな女は、宝の箱が平たい所にあったら、案外、興味を抱かないかもしれない。

凶角の多い人は、退屈なのは嫌なのよ。どきどきしたいのよ。

だから、こんな相談を持ってくる女性の方がすでに不倫をしていたり、不倫願望が強かったりするんだけどね。

女は外見で判断しちゃだめよ。星で判断しなきゃ。

 

で、話は戻るけど、離婚するには、法的にも、世間的にも理由が必要なわけですよ。

ただぼんやりと離婚したいというだけでは、離婚なんて、そう易々とはできない。

それこそ、夫がDVをしているだの、浮気をしているだの・・・まぁ、証拠は要るけどね、離婚する理由があれば、離婚調停にまで持っていける。

ところが、ただぼんやり離婚したいというだけでは、夫が拒んだ場合、調停が成立しない。申立てして、家庭裁判所まで行っても・・・難しいわ。それなりに世間というか、日本の常識で、“そりゃ、離婚した方がいいよ”という理由が必要になってくるわけですよ。

 

この手の、決定打のない離婚願望の相談は、難しいのよ。

まぁ、だいがいは子供が小さいうちは、子供が可哀そうだからとか、高校生ぐらいだと、受験に差し障るからとかで、いわゆる “子は鎹(かすがい)” になるのだけれど・・・子供が大学へ行ったとか、就職したとかになると、むくむくと離婚願望が湧いてくるようで。気づいちゃうのよね。

 

夫の方もね、なんとなく、別れたいという感じになっていて、すんなり、 “じゃ、分かれましょうか。” となると、問題なく離婚できるのでしょうけど。

 

そもそも、アスペクトが少ない場合、腐れ縁の逆でね、縁が弱いのですよ。

結婚する前のカップルでも、ふわっと付き合いだしたと思ったら、フェードアウトするように自然消滅していたりする。後ろ髪を引かれるような、未練が弱かったりする。

まぁ、相手は “3学期まで口を利かなった男子” ですからね。

 

この手の相談を受けた場合、2人の今後を見て、別れやすそうな、別れが起こりそうな時期を教えてあげるくらいかな。でも、その星回りも、お互い、そんなにダメージのないものだったりするんだけどね。なかなか“これだ!”という時期は見つけられなかったりする。ぼんやりしてるのよ。

 

離婚は、面倒な手続きもいろいろあって、エネルギーの要るものだから、無理にはお薦めし、私は背中を押すこともないけどね。

私の周囲のバツ1の人たちは皆言うよね、

“結婚は何度でもしたい、けど、離婚は1回で十分。”

 

諦めて、人生最後まで連れ添ったら、どう?

えっ、それができなさそうだから、苦悩しているんだって? 

まぁ、仕方ないわね。話だけは聞いてあげるわよ。

意外に多いのよ。あんたみたいな人。

家族ってやつは。

親子というのは、難しくて当たり前。

友人とか、カップルとかの場合は、相手を選ぶじゃない。そりゃ、何かしら、いい相性の星並びがあったりするわよ。もしくは惹きつけ合うような星並びとかね。

でもね、親子はそうじゃないのよ。もうほんとにただの偶然だから、相性が良くても、悪くても、親子は親子。

だって、お互いに選べないからね。星並びに関係なく、ただ生んだ、生まれたということだけ、なんだからね。

だから、鑑定をしていても、ほんとにいろいろな相性がある。

すごく良い場合もあれば、そうでない場合もある。普通だったら、友人にもならないような相性の親子なんて、そりゃ山ほどあるわよ。だから、親子が難しいのは当たり前なのよ。

さらに、血のつながらない親子となるとね、これはこれで余計に複雑になるわけよ。

 

福岡市内に住むKさん(40代後半)は、20歳近く離れた夫と8年前に結婚し、一緒に暮らしている。

夫は再婚で、前妻が生んだ息子(長男)がいる。その長男は大学生になっていて、今は東京で暮らしているという。

ほかにKさん自身が生んだ子供(次男)がいて、まだ7歳。仕送りをする大学生の長男と、小学生になったばかりの次男とで、忙しい日々を送っている。Kさん自身は、仕事もしているしね。

 

で、血のつながっていない長男とは、夫と結婚してから、ほとほと手を焼いてきた。Kさんが結婚した時、長男は中学生だった。父親が大学の先生で、中国の大学で研究の仕事をしてきた。そのため、ずっと中国で過ごしてきたのだけれど、おかげで日本語がほとんど話せない。インターナショナルの学校には通っていて、何となく英語はできるのが、日本語がね、十分じゃないみたい。それでもって、高校生になって、日本にやってくるのだが、日本語をまったく覚えようとしない。

福岡は刺激的だったみたいでね、ライブに行ったり、クラブに行ったり、いつも遊んでばかりいたそうよ。女の子にもよく声を掛けていて、家にもよく連れ込んでいたみたい。まぁ、モテていたとも言えるけどね。

青春を謳歌するのは良いが、そんなことしていたら、当然、大学に入ろうにもひどく苦労する。高卒でもいいじゃないかと思うかもしれないが、そこは父親が大学の先生だからね、大学は行かせたいわけよ。

で、Kさんが日本語を教えるのに、奮闘するのだが・・・長男の方は、聞く耳持たずに、家に居てもスマホのゲームばかり。長男は、最初、まったく大学へ行く気が無かったのだが、まぁ、東京で一人暮らしができるのならと、頑張ったらしい。

 

で、Kさんと長男の相性をホロスコープで診てみる。

 

kさんと息子【ホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に解説:星同士の角度が0度、60度、120度の時は吉角と言って、良い働きをする角度。90度、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、凶角と言って、害になる影響を与えやすい角度となる】


(今回の図は、生まれた時間が分からないので、月を省いております。)

【左のチャート図の線は、2人の相性のW(ダブル)大判振る舞い星のTスクエアしか描いていなくて、ごめんなさいね。下に書いたこと全部、線で示すと、線だらけになってしまうからね。】

 

内側のホロスコープがKさん。外側は息子さん。その2つを重ねるのだけれど・・・。

Kさんはもともと太陽☉と土星♄が0度で重なっていて、真面目な人。でも、その土星に対し、火星♂と冥王星♇が180度凶角になっていて、Tスクエアを形成している。何事も一途になって、ストレスの溜め込みやすい性格かな。

長男は、水星☿と土星♄が凶角180度になっている。土星はルールという意味、水星は知性。凶角になると、土星のルールという意味は、逆の意味になる。だから、これは“ルールを破る知性”。つまり良くも悪くも、ルールや決まり、一般常識にはとらわれない思考を持つ。

水星☿と海王星♆も凶角180度凶角。海王星が、夢見る夢子という意味があるのだけれど、これは“夢を見過ぎる知性”となる。妄言を言うとか、あまりに理想が高すぎるとか。

まぁ、長男はあんまり常識にはとらわれない、ふわふわさんになるかな。一方で、金星♀と冥王星♇が吉角120度を持っていて、美、遊びを徹底的に追うという意味があって、オタクか、趣味人か、遊び人か。

 

2人の相性を診ると、Kさんの木星♃に対し、長男の冥王星♇が90度凶角になっている。また火星♂は180度凶角位置になっていて、Tスクエアの形になっている。Tスクエアとは、文字通り“T”の字形をしているのだけれど、180度凶角と、90度凶角が組み合わさったもので、強い凶角になる。木星♃と冥王星♇の凶角は“大盤振る舞い星”と私は呼んでいて、労力を多く使ってしまう星並び。それに火星♂がさらに凶角となっているから、悪い方にパワーがアップしてしまっている。実は、長男の木星♃とKさんの火星♂、冥王星♇、土星♄、太陽☉もTスクエアとなっている。

つまり、大判振る舞いのTスクエアが2つもあるということ。W(ダブル)大判振る舞い星。これは消耗感激しく、くたくたになるような労力を使ってしまいそう。

相性で大判振る舞い星が出来る時というのは、例えていうなら、お子さんに障害がある時に、親子の相性でできることがあるわね。

さらに、Kさんの金星♀と長男の土星♄が180度凶角になっている。遊び、趣味の金星♀に、ルール、規則が無くなるという土星♄の凶角の意味で、私は“快楽ざる星”と呼んでいる。これが相性でできると、注意しない関係になる。

例えば、この快楽ざる星が、会社と社員の関係でできると、遅刻しても叱られない立場だったりする。親会社から子会社に出向してきた人とか、特殊な研究職だとか・・・。おそらく、Kさんは、夫の連れ子で、年も親子ほどは離れていなくて、距離感がつかめずにいたのかもしれないわね。だから、あまり注意できないと。

 

Kさんが長男のことで気になるのは、彼の金遣いの荒さだったそうよ。

それは、前妻の影響かもしれない、と怖れたそう。実の母親ということね。

夫は前妻にはひどい目に遭ってきたらしい。もともと前妻は、大学で教えていた夫の、中国での教え子だったんだって。夫が若い頃、結構モテる人だったらしくてね、多くの女子生徒たちから羨望のまなざしを受けていたと。

そんな競争を勝ち抜いて、前妻は夫をゲットし、結婚したそうなのよ。

ただ前妻はお金に対する欲求が高かったみたいでね。使い方も派手だったらしい。全身、ブランド物で身を包むような・・・まぁ、バブル世代だから、そういうこともあるかもね。

一方、自分の意にそぐわないことは、全力で阻止するようなところもあってね。夫が他の大学から誘いがあっても、勝手に電話でその話を断ってしまったこともあったんだって。引っ越しが嫌だったから。

最後には、前妻は別の男と付き合うようになり、離婚することに。まぁ、不倫というやつね。

その不倫相手と再婚したわけだけど、その相手というのが、中国人の経営者さんらしくて・・・まぁ、お金持ちだったのよね。で、今まで以上に、ブランド物で身を固め、海外旅行、グルメ三昧の羽振りの良さになったそうで。

夫はいい人だから、“ぼくといっしょに居ても、そんなに贅沢させてやることができないから、それでいいよ。”って別れたんだとさ。

 

前妻

前妻のホロスコープを診てみると、火星♂、木星♃、海王星♆がグランドトライン(正三角形)を形成している。グランドトラインは、120度吉角が3つ重なった吉角の詰め合わせ。感情を示す海王星♆が、木星♃で膨らみ(浮かれて)、火星♂で勢いづいて前向きになっている。火星♂、木星♃、海王星♆のグランドトラインは超前向き、超ポジティブなんだけど、もうそんな次元を越えて、“反省しない人”の域になっている。空気が読めない、図々しいというレベルをも越えているわけよ。

そこに金星♀も加わっている。つまり、どんな星並びが加わるかというと、金星♀と海王星♆はおしゃれ、色気、金星♀と火星♂はエロ星、金星♀と木星♃は人気、愛情星。

つまりね、金星♀、火星♂、木星♃、海王星♆のグランドトラインは、簡単に言えば、おしゃれで、スケベで、人気があって、ちやほやされて、浮かれた人ね。そこへ木星♃と冥王星♇の180度凶角があるのよ。このような形をカイトという。カイトとは凧という意味だけど、木星♃と冥王星♇の180度凶角の作用は出るけれど、それが、グランドトラインの効果を引き寄せるという意味になるのよ。

で、木星♃と冥王星♇の180度凶角は、上にも出した “大判振る舞い星”。個人の性質として持つ場合は、大きく稼いで、大きく使おう、とか、貧乏くさいことが嫌いみたいな性格になる。

それがカイトになっているわけだから、大判振る舞いな性格、行動が、浮かれとおしゃれと人気と反省しないほどの超ポジティブさを持ってくるというわけ。

さらに、この前妻は、金星♀と土星♄の凶角90度は、“快楽ざる星”も持っている。これは、自分の好きなことに、ブレーキが効かない。タガが外れたような感じで、没頭してしまうのよ。

(快楽ざる星は、線で描いておりません。)

 

まぁ、こんな性格だからね、もともと 大そうな女なのよ。

ここではホロスコープチャートは省略させてもらうけど、夫と前妻の相性はね、この前妻の性格、行動によって、大きく財運を落とす、大いに労力を使い果たしてしまう、好き放題にさせてしまう星並びができてしまっていたのよね。

 

Kさんは、まだ夫が前妻と夫婦だったころ・・・その頃、Kさんは夫とは知り合いだったそう。中国で、冬のある日、大学から少し離れたところを歩いていたら、人の気配がある車が停まっていて、何だか怪しい雰囲気だったので、ふと覗いてしまったと。そしたらね、前妻が他の男と車の中で、ラブラブ&エッチなところを見てしまったんだって。その頃は、まだ自分が今の夫と結婚するなんて思っていなかったから、まったく他人として、夫に伝えることもなく、ただただ前妻のやることに驚かされたそうで。

 

長男もお金の使い方がだらしないのも、前妻のそんな姿を見て育ったから・・・。

大学の先生といっても、そんなに裕福なわけではない。もし、前妻のような人間になったら、どうしよう。

だから、私がしっかりとお金の大切さも教えて行かねばならないと気合を入れたりしたのだが、どうにも空回りで、効果が無かったみたいなのよ。

で、長男が東京に行った今も、そんなことが悩みで、心配で仕方ないと。大丈夫かしら、と。

で、私に鑑定を依頼してきたわけですよ。

 

でもね、上に書いたけど、この相性じゃ、お互い労力をただただ使い果たしてしまいそうな感じ。

距離を置くしかないんじゃないかしらね。

と言っても、 “距離を置く” 、つまりほど良い距離感を持つというのは、親子では難しいわけでね。

 

で、いろいろ話をしているうちに、前妻のエピソードが次々に出てきたのよね。

夫がKさんと再婚した後、偶然、福岡市内のパブで前妻と出くわしたことがあったんだって。

とんでもなく身勝手で、お金に執着しつつも金使いの荒い女。そして夫と長男を捨てて、お金持ちの男のところへ行ってしまった女。そんな話をさんざん夫から聞かされていたから、できれば、Kさんは一生顔を合わさずにいたかった。

夫も、Kさんと前妻とは会わせたくなかった。凍ったような、高い壁のそびえる、何とも居心地の悪い空気になってしまうだろうからね。

でも、超前向きな前妻は、店内に夫を見つけるや否や、“やっほぉー!”という感じで、その重厚で硬い壁をあっけなく飛び越え、空気を読むことなく、“せっかく会えたんだから、楽しく飲みましょうよ”とやってくる。

 

薄暗いパブのお店の中は、賑やかな騒ぎ声がお店の天井に当たって、響き渡っている。他のお客たちは絶え間なくおしゃべりし続け、ガヤガヤしていてお互いの声が聞き取りにくい。ラテン調の音楽が流れて、店内ではしゃいでいる若者もいる。

騒々しくも、ぎこちない空気の中、Kさんは、前妻と対決するような気分だったという。

刺すか刺されるかの緊張感の中、睨みつけるも、前妻を見ていると吐き気がするので、目をそらす。

心の中で “お前のせいで、こっちは苦労してんだよっ!” と怒鳴りつけているのが、自分には良く聞こえる。

Kさんは普段から煙草を吸うのだが、話すことが無いので、ついつい止まらず、続けて何本も吸ってしまう。煙草の煙がちぎれた雲のように流れていく。

 

前妻 「私にも1本ちょうだい。」

 

ふーっと美味しそうに吹かした後、もう一方の手のグラスでビールを飲んでいる。

前妻は、その中国風の化粧の濃い顔に、へらへらと笑みを浮かべる。

 

前妻 「どう? 夫は家のことをやってくれる? 家事上手いでしょ。」

 

話は次第に、夫の愚痴になっていき(唯一の共通の話題だからね)

・・・お酒も進んでいき・・・会話は少しずつ盛り上がっていき・・・

 

気付いた時には一緒に踊っていたそうよ。 なんじゃ、そりゃ。

 

間抜けな笑い話のよう。その話を聞いた時、私は気になって、Kさんと前妻の相性を診たのよ。

kさんと前妻

前妻の浮かれ、おしゃれ&色気、人気、超ポジティブ、陽気のグランドトライン上に、Kさんの水星☿、金星♀が乗っている。Kさんは水星☿、金星♀が0度吉角で重なっているが、これは“おしゃべり星”といって、場を賑やかにする星並びを持っていて、それが乗っているということ。

つまり、前妻の浮かれ、おしゃれ&色気、人気、超ポジティブ、陽気のグランドトラインとKさんのおしゃべり星がクロス合体してしまい、一緒にいると、かなり楽しくなってしまう相性だわな。

しかももう一方のKさんの木星♃と前妻の水星☿も120度吉角。水星はコミュニケーションを意味する。この星並びができると、五言えば、十伝わるような、ツーカーの相性となる。

Kさんのおしゃべり星に対し、前妻の水星☿が凶角90度位置にある。これは、おしゃべりし過ぎて、ノンストップになってしまうというもの。

(左のチャート図は、前妻のグランドトラインと、Kさんのおしゃべり星のみを線で描いています。他にも多くありますが、分かりやすくするためです。ご了承下さい。)

年齢は10歳以上離れているが、この2人なら、すぐに楽しく、意気投合してしまうわな。

 

前妻のグランドトラインとKさんの金星♀を見ると、Kさんの金星♀と前妻の火星♂が0度吉角で重なっている。エロ星だ。

エロ星ができると、同性でも、いちゃいちゃしてしまう。肌の接触を好む星並びなのよね。

 

「私、酔って、踊っているうちに、前妻とキスもしちゃいました。

女同時のキスは初めてだったわぁ~。」

 

あらあら。

このホロスコープを診れば、お互い、口ケンカをしたり、重圧を与え合うような、“痛い”星並びが無いのよね。

これは盛り上がる相性よね。楽しくて仕方ないかもね。

 

「実は、私、こういう生き方でできる人って、すごいなというか、まぶしく感じてしまったんですよ。

ホロスコープを見て気づいたのですが・・・私、前妻さんのことが好きなんですよね。

なんとなく、そんな気も、どこかでしていたんですよ。

今思えば、中国で、前妻が車の中で他の男とエッチなことをしているのを見た時も、その奔放さが羨ましかったんだな。」

 

ホロスコープが描いているのは、素(す)の姿なのよね。

素描、スケッチのようなものなのよ。そこに悪意や褒める気持ちなんてものは何もないのよ。

宇宙から見たら、人間の行いなんて、小さなもので・・・法律も、常識も、価値観も、お金も、病気も、どっちでもいい、小さなものだからね。

 

夫を間にはさむから、ややこしいことになるだけで・・・素のあなたたちは十分に仲良しになりうる関係なのよ。

 

Kさんは、憑きものが落ちたような、さっぱりとした表情になった。

 

でもね、私は、ホロスコープに出る、その素の関係だけを見て行動しなさいとは言わない。

夫のこと、過去のことは水に流しなさいとは言わないわよ。

人間の社会は、宇宙から見たら小さく、狭く、その価値観は偏っているのかもしれない。だけど、その中で私たちの生活や秩序、習慣、文化が成り立っているのだからね。

 

Kさん、あなたが前妻と、ホロスコープどおり仲良くなるのは、どうなのかしらね。

現実には難しいかもね。夫とこれからも暮らしていくわけだからね。

 

でも、Kさんは、この鑑定で、何かを見い出してくれていたみたい。

晴れやかに帰って行ったわ。

 

鑑定してから数日が経って、Kさんからメールがやってきた。

夫に、 “長男のことは諦める宣言” したんだって。

ホロスコ―プをいろいろ見ていたら、もう “どうでもよくなっちゃった” んですって。

 

同じようなことを長男にも伝えたら、返信が来たそうで。

 

「了解! それでも、ぼくらは家族だからね。」

 

やっと、肩の力が抜けたのね。

結婚した時には、もう中学生になっていた長男。母親として、しっかりとした教育をしようと頑張った。

前妻が自分勝手で、自由奔放だったから、長男を前妻から引き離すように、自分が何とかしなきゃと思ったのよね。

でも、実は自分は前妻のことが、とっても好きになれる人だと分かった時・・・呪縛が解けたのね。

 

親子は選べないから、相性がいいとは限らない。

でも、親子はこうあるべきだという像に縛られない方がいいわね。

責任とか、義務とか、難しく考え過ぎない方がいい。自分のできることは限られているから。

どんな形にしろ・・・それでも、ぼくらは“家族” なんだからね。

  

まったくもって、面倒な恋

恋愛の場合の相性鑑定はね、吉角ばかりそろうのがいいとは限らないのよ。

相性鑑定は、2人の生年月日のホロスコープを重ね合わせて、ダブルチャートで見るのね。そこで、強い吉角、強い凶角ができると、その分干渉が強くなって、腐れ縁になっていくと。

でもね、当然、吉角と凶角では出方が違うのよ。

もともと吉角はソフトアスペクトといい、凶角はハードアスペクトという。とか、とか付けてしまったのは、日本人なのよ。欧米人にとっては、ソフトとか、ハード。つまり薄いか、濃いかといった感じ。そもそも良し悪しのイメージはそれほど付いていないのよ。だから、あんまり吉角凶角のとかという言葉にとられない方がいいのよね。

 

で、恋愛においては、凶角もあった方がいいみたい。刺激的になるからね。

例えて言うなら、凶角だらけの相性って、冬のソナタみたいな感じかしらね。冬ソナって、ごめんね、私、ちょっと古い世代だから。若い人には、冬ソナって言っても、分かんないかもね。2人の若い男女がいてね、いろいろ問題が生じてばかりで・・・でも、その分、恋は燃え上がってしまうという。2人の男女の高校生が恋をして、仲良くなったら、実は兄妹だったとか、でも実はその兄妹の話は嘘だったとか、交通事故に遭って命を落としてしまうとか、その後、そっくりさんに恋をしてしまったら、本人だったとか、でも、記憶喪失になっていたとか、最後には目が見えなくなっていて、そっと去っていく・・・。ややこしくて、ドロドロなのよ。

でもね、そんな恋の物語を見て、世のおばさまたちは、これこそ、純愛 よっ!! 私もこんな恋愛が欲しい〜〜って、胸を熱くしたのよ。

 

一方、吉角ばかりの恋愛って、どんな感じかというと、

そうね・・・サザエさん、かな。

サザエとマスオさんのような恋愛。

日曜日の夜6時30分から放送されているやつね。

もう50年も放送が続いているのよ。

本当に小さな波風しか起こらず、まぁ、幸せなんだけどね・・・。

 

恋愛ってさ、刺激が無いと、ダメなのよ。だから凶角があった方がいい。それが、金星と火星のようなアスペクトエロ星があると、恋愛になりやすいわね。凶角なら、引き付け力がより強いのよ。

 

で、前に金星、火星のアスペクトに冥王星♇が加わると、さらに引き付け力が強いと説明したわ。

変態エロ星と、この3つの星のアスペクトのことを名付けたけど・・・このネーミングは品が無かったなと反省しているんだけどね。

今回は、この金星、火星、冥王星♇の3つの星180度凶角、変態エロ星を、なんと2つも持つ、つまりダブル変態エロ星を持った人たちの恋愛の話なのよ。

 

 

この方のことになると、なぜか不器用だった女子高生の頃に戻ってしまうみたいです。

結婚してしまって、幼い子供がいる私にとっては、もう恋愛は現実的ではないのですが。

 

 

お会いする前に頂いたメールには、こんなことが書かれていたわ。

 

6月にね、静岡県内から鑑定にやってきたMさん。ある大手の企業で営業職として働いていらっしゃるんだけど、今、育児のために仕事をお休みしているんだって。長い育児休暇といったところかしら。

依頼を受けた内容は、気になる人との相性を診てもらいたいということだったんだけどね・・・実は高校の予備校の先生。

Mさんは30代で、結婚もして、旦那さんとは仲良くなっていて、何の問題も無いのだけれど、どうしても頭から離れないと。仕事に没頭している時は、忘れることもできたのだけれど、育児のために主婦となってからは、話し相手も無い時間を長く過ごすと、つい昔の想いがね、よみがえってきたみたいなのよね。

 

でね、その先生、今は40代後半。生年月日は知っているから、ホロスコープから彼の性格を診ると、特徴的なのは、土星♄と海王星♆の180度凶角を持っていて、これを私はいじめられ星とも呼んでいるんだけど、自分の感情を押し殺しすぎるところがあるのね。ひかえめ過ぎるというか、ストイックになり過ぎるというか。もう1つは、金星と冥王星♇の180度凶角。これは、自分の快楽や趣味を追求し過ぎるところがあるのよ。釣りバカのようなオタクになったり、いろんな出方をするわね。冥王星♇の凶角には、倫理にとらわれないという意味もあり、倫理にとらわれない趣味とか、恋愛を求める傾向があったりするわ。

矛盾するような2つの星並びを持っても、相殺することは無く、場面場面によって、双方が出てしまうのよ。

 

一方、相談者のMさんも、金星と冥王星♇の180度凶角をやっぱり持っている。

さらに、金星と土星♄の180度凶角も持っている。この金星と土星♄の凶角を私は快楽ざる星と呼んでいる。自分の求める快楽に歯止めが効かない人のことなのよ。金星が冥王星♇、土星♄と180度凶角になっているなんて、自分の欲求を止められない結構なオタクさんなんでしょうね。趣味や恋愛のためなら、倫理にもとらわれないかも。

 

相性を診ると、それぞれの金星、冥王星♇の180 度凶角上に、相手の火星が乗っている状態になっている。そんなふうにして、上に書いたように、強い恋愛引き付け力のある変態エロ星180度凶角が2つもある。ダブル変態エロ星。いつも後ろ髪を引かれるような感じになるのかしらね。

 

そこまでは、星を見れば、読めるところなんだけど・・・Mさん、実は今、先生がどこで何をしているのか、まったく知らない、って。

 

え〜〜〜っ?

 

いや、いくら星占い師でもね、ホロスコープを見て、今、どこで何をしているのかまでは分からないわよ。水晶を覗いて、相手男性の像が浮かんできて、今、吉野家で牛丼を食べ終わって、ぼーっとスマホを眺めいているなんて告げることできないわよ。

星を診れば、この先生は来年、とても良い年になるのは分かるのだけれどね。この先生の土星♄、冥王星♇が、来年のグレートコンジャンクションと合わせて、グランドトラインを作るから、出世するかもね・・・でも、こんな情報はMさんが本当に欲しいものじゃないんだろうなぁ。

 

だって、Mさんの悩みは恋心なわけよ。ストレートに言えば、すぐにでも会いたい訳よ。彼女にとって、問題は、どうすれば、会えるのかということだからね。

 

Mさん、実は数ヶ月前にスーパーで先生を偶然、見たというのよ。買い物をしている先生。実家の近くのスーパーで夜9時頃に。それは通っていた予備校の近くでもあるんだって。

今、思えば、その時に声を掛けていれば良かったんだけど・・・心の準備ができていなかったのよね。

そりゃ、そうでしょ。20年近くも前の話だもん。忘れていたわよね。

ふいに、昔好きだった人が現れてもねぇ。

例えて言うなら、お昼にランチパックを買おうとコンビニに入ったら、いきなり6割引きのシールの貼られた特上にぎり寿司(うに入り)を見つけてしまって・・・突然過ぎて、もう手が出せないというか。

おどおどと戸惑っているうちに何もできないで、そのまま過ぎ去ってしまうと。

20年近く前、Mさんが高校時代には、先生は予備校近くのワンルームマンションに住んでいて、その頃もそのスーパーによく通っていたそうなんだけど・・・今もねぇって・・・そうなのかしらね。偶然じゃないかしら。高校は同じなのかしら。

でも、もう手がかりはそのスーパーしかないから、張り込むしかないんじゃない。

なるべくそのスーパーで、無駄にうろうろ、お菓子のコーナー行ったり、鮮魚コーナー行ったり、日用品コーナーに行ったりするか、駐車場の車の中から先生らしき人が入口から入っていくのを望遠鏡片手に見張っているか、しかないでしょ。

 

この先生は、近い未来のことを診ると、915日に強いエロ星のグランドトラインができる。火星♂、木星♃、太陽☉、火星♂、金星♀、天王星♅と6個の星で作るグランドトラインよ。星並びはかなり珍しいわよ。この星並びなら、先生は恋愛への欲求というか、興奮度が高くなるから、915日前後に照準を定めていきたいわね。

 

言えることはそんなことくらいしかないかな。でも、そもそも、今、どこで何をしているかも分からないんだから、かなりハードルの高い話なのよ。

 

そうは言ってもね、Mさんにはまだ育休中の小さなお子さんがいて、そう夜の9時に、家から遠いスーパーなんかに行ってられないわよね。旦那さんにどんな理由を言って、行くのかしらね・・・。今の旦那さんともそこそこ相性良さそうだし、あんまり無理しない方がいいんじゃないかしらね。

 

でね、鑑定した後には、こんなメールが来たのよね。

 

今日は鑑定して頂き、ありがとうございました。

もう少し息子が成長したら、今度は息子の性格傾向や気をつけてあげないといけないこと等、鑑定していただきたいなと思います。

主人との結婚のこともみていただいて、決して悪くないと言ってもらえましたし、家庭は大切にしていきます。

 

先生の手がかりは、ひとつ試してみようかなという方法がございましたので、とりあえずダメ元でやってみようと思います。

 

 

あら、ダメ元でやるのね。

このブログを読んでいる人は、スケベな人が多いし、そういう展開を期待しているのだろうけど、Mさんは、その期待を外さないわね。

Mさん、女の熱い想いがふつふつと湧いてきたみたい。

旦那さんやお子さんとの相性も悪くないしね。ゆるりと幸せな家族の生活を送る方がいいのだろうけど・・・。

 

季節はだんだんと暑くなっていって、今年の梅雨の季節に入った中、Mさん、まめに先生が来るかもしれない予備校の近くのスーパーに、夜な夜なせっせと通ったと。

まだ生まれて半年前の子どもを実家に預けてね。

 

そしたら、915日よりもずっと早く、夏には星が動いたようなのよね。Mさんは、3ヶ月ぐらいは粘るつもりだったようだから、予想より早く成果を出せたというところね。

女の執念というやつかしら。まぁ、これが引き寄せの法則というやつかもしれないわね。

 

 

幸か不幸か今月8日にスーパーで偶然会うことができました。

(ストーカーしてたわけじゃないですよ!笑)

18年ぶりに会ったけど、

私のこと覚えていてくれたみたいで、こちらから名乗る前にすぐに名前を呼んでくれました。

それだけのことが、もうどんなに嬉しかったことか

少し立ち話して連絡先(LINE)交換してもらって帰ってきました。

先生は、私が高校生の時と同じマンションに住んでいました。就職してから今まで20年間ずっと当時の1DKに住んいたんですよ。

毎日夜9時前後に学校を出て、いつも同じスーパーに立ち寄っているみたいです。

笑っちゃいますよね〜。

 

 

良かったじゃない。偶然同じスーパーで出会うことができたんだ! お惣菜コーナーかしら。

これって、ほとんど奇跡よ。

努力の結果かもしれない。ストーカーしていたわけじゃないって、本人は言ってるけどね。

20年近く経っていても、何の違和感もなく、まるで高校時代と同じように話ができたなんて、十分な成果よ。

最初に鑑定した時は、居場所も、勤務先も分からない状態だったんだからね。

でも、この先生、就職してから、同じ予備校に勤め、同じワンルームマンションにずっと住んでいたんだね。ちょっと驚き。生活をまったく変えていなかったのね。おかげで会えたから、それがラッキーだったんだけど。

で、同じスーパーに通っているなんてね。夜9時過ぎにスーパーに入ると、たいてい総菜ものは半額ぐらいに割引されているわね。

そんな買い物を同じサイクルで20年も続けてきたなんて、この先生、良くも悪くもただ者じゃないわね。

40歳過ぎの男性が毎晩同じ夜9時過ぎにやってきて、半額になった総菜ものを、品定めして、カゴの中に入れて・・・きっとスーパーの店員さんも顔なじみになっているでしょうね。

 

で、このまま、いい感じで距離を縮められるのかしらと思ったら・・・そうは上手く行かなかったみたい。

 

 

で、教えてもらったLINEにメッセージを送ったけれど・・・既読になるのに何の返事もありません。

ショートメールも同じです。

一応、連絡先交換した時にLINEとか本当に送ってもいいのか聞いたら「いいよ。なんで、そんなことを聞くの?」と言っていたのですが。

 

別れ際に「また塾に遊びに来てね」と言ってましたが、今さら予備校には行けませんしね。

今思えば、LINEを交換してもらって喜んでしまいましたが、断るのが面倒だったんでしょうね。

私はそういうのを教えたくない時は、絶対教えず理屈こいて逃れるタイプなので、先生もそうなのかなと思い、読み違えました。

再会した時はすごく嬉しそうにしてくれていたように見えたのですが。

ずっと会いたくてやっと会えた人なので、このまま縁が切れてしまうのが悲しいです。

 

 

あらあら、どういうことなのかしらね。

塾の元教え子からLINEが来ていて、何も返さないなんて。

断るのが面倒って、そんなことはないでしょ。メールを送るだけじゃない。まぁ、先生も忙しいからね。毎日9時まで働いている人だしね。疲れているのかな。

でも、まだ時間はあるわよ。ここまで来られたんだから、焦ることは無いわよ。

915日に向けて、距離を縮めていけばいいじゃない。

 

 

とは言ったものの、2週間以上も、先生からは音沙汰が無かったのよね。

今年の梅雨は長く、曇り空、雨空が続いたのよね。

蒸し暑さだけは、次第に増していってね。そんな中の2週間は長く感じられたでしょうね。

 

 

会えたこと自体はよかったんですかね。

不倫志望()

ヤダー()

もしかして先生は、久しぶりに会った元生徒の人妻に誘惑されたなんてドン引きしてるんでしょうか。

心外な、そんな破廉恥なこと考えてないのに。

(まったく下心がないとは言いませんけどね!)

結局あれから何もできませんでした。

レスポンスもないのにこちらからさらに動けないですしね。

卒業して18年もすれば連絡が途切れて思い出話ができる友人も少なくなってくるから、先生に会えて嬉しかった的なメールでも送ろうかなと思っています。

おそらく返事はないと思うけど。

 

 

返事が無いんじゃねぇ。待つしかないんだけど、こういう待つ場面が難しいのよね。

無理に押しても、ガツガツしているように思われるし・・・というか、普通、ガツガツしているなんて、思われないわな。

だって、18年ぶりの生徒だよ。

メールが来て、会いましょうよという内容が来てもね。まぁ、向こうからすれば、普通のことだわね。

ただ、この先生は土星♄と海王星♆の180度凶角を持ったひかえめ過ぎる性格だからね。

星が巡るまで、風が吹くまで、様子を見るしかないかな。

諦めるのは、915日が過ぎてからにしましょう。

 

 

最初はよかったんです。

別れ際に「ところで今何してるの?」と聞かれた時に言葉を濁してしまったのがダメでした。

特に自慢できるところの無い、つまんない主婦になってしまいましたから。

 

高校時代、模試の成績がいつも同じくらいだった友人がいました。

友人は先生の授業を履修していて、ある時質問に行ったらしいです。

その時に志望校を聞かれて・・・遠回しに私の志望校も聞いてきたらしいのです。

 

私の進学に関係ない先生が何で知りたがるの?

ひどくないですか?

友人は、「本人が○○大と言ってるんだから○○大(地元の国立大学)でしょ」と答えたら、

○○大って言ってんの?なんで?」と言いつつ・・・先生ほっとした顔をしていたと。

友人は、そのやりとりが何となく気になって、しばらく私と先生の様子を観察してたんですって。

友人は、私と先生が付き合っていると思っていたようですが・・・

本当は、まったく付き合ってたなんてことはなくて・・・友人が妄想していただけです。

 

 

もし仮に先生に特別な思いがあったとしても20年前の話だし、それが、先生の独身でいる理由とは考えられないのですよね。その後、いい出会いもあったでしょうし・・・。

何にせよ、LINEを送っても返信は期待できそうにないです。

毎日毎日こんなことばかり考えているのが嫌になってきました。

 

 

あら、そんなことがあったのね。

大学進学の時、Mさんが地元の大学へ行くと知ったら、先生は安心してくれたと。

地元の大学へ行ってくれたら、もしかしたら、先生は卒業したMさんとお付き合いすることができたかもしれないものね。

友人が、Mさんと先生が付き合っていると勘違いしていたくらいだから、そういう雰囲気は出ていたんでしょうね。

先生が15年近く、まだ結婚できない男でいる理由が、Mさんとしたら、ちょっとホットな話よね。

いくら強いエロ星が2つあったとしても、本当のところはどうなんでしょうね。

こればっかりは先生に聞かないと分かんないけどね。

 

 

つぼぼさんはエスパー魔美じゃないんだから、こんなこと相談されてもお困りだろうなとは思うんです。

申し訳ないです。

もし私がフリーだったとしても、無理だろうなというのはわかってるんです。

でもたぶん、どこか期待してしまっているからこんな状態なんだと思います。

一日だけ何とかお願いしたらフルコースのデートしてくれるかな。

そしたらやり残したこと少しは回収できるかな。

(それ以前に電話しても、出ないと思うけど)

最近眠れないし、あまりに続くようだったらカウンセリングでも受けようかなと思っています。

 

 

カウンセリングか。かなり心を病んでしまっているわね。

1日だけでも、フルコースのデートしてみたいか・・・。そうね、やり残したことだわね。

 

結局、Mさんは2ヶ月近く待たされ・・・、しんどい時期が続いたのよね。

それでね、やっと待ちに待った先生からのメールが来たみたいなの。

Mさんにとっては、期待したものとは違っていたけどね。

 

 

先日はお世話になりました。

予備校の先生のことですが、一応決着がついたのでご報告だけさせていただきたいと存じます。

結果としてふられました。しかも一方的に(笑)

 

昨夜遅くに先生からメールが来ました。

 

18年前、自分は先生だから何もできなかったけど、正しい選択だったこと、先生だから間違ったことはできない、みたいなことが書いてありました。

先月会った時は浮かれて私の状況も考えず、LINEや電話番号を交換してしまったけど、連絡を取り合えば自分を抑えることができなくなる、まだ何とか先生として対応できている間に着信拒否して連絡手段を絶ってほしい。でないと絶対に言ってはいけないことを私に言ってしまうかもしれない、18年前に伝えずに飲み込んだ言葉をお願いだから言わせないでほしい、みたいな内容でした。

 

私がいまだに引きずっていることを分かっていて、こんなこと言ってきてるんでしょうか。

この際だから自分の思いのたけを長文で送り付けてやろうかな。

そんなことしても無意味かな。

一方的で余裕無さげな感じからして、先生も相当参ってるんだろうなというのは分かったけど、もっと他に書きようはなかったのかな。

額面通り受け取ったとしても、やりきれないです。

 

 

このメールが来たのが、915日なのよね。

エロ星のグランドトラインの日が、こんな風に出てしまうとはね。

先生ってさ、な〜んだ。昔、やっぱりMさんに気があったんじゃない。でも、18年前は言えなくて、飲み込んでしまったと。

だけどさ、この先生、40歳過ぎても、同じマンションに住み続けていて、同じ生活パターンを続けているけど・・・性格がひかえめ過ぎるわね。控えめ過ぎるの方が強く出過ぎちゃったみたい。でもさ、まったくメンタル的には〝童貞〟なんじゃない。ひとり想像して、興奮しちゃって、塞ぎ込んでしまっているわね。

昔、自分のことを好きだった生徒というか女性が現れたんだから、その気持ちを汲み取ってあげればいいのにね。別に肉体関係を望んでいるわけじゃないでしょ。まぁ、よしんば、そうなってもいいかなとMさんは期待しっていたかもしれないけど・・・会えるだけでも嬉しいものなのよ。胸がキュッとしてね、高校時代のときめきが少しだけでも思い出せれば、それでいいんじゃないの。 ファミレスで、一緒にパフェ食べるだけでもいいのにね。

それがこの先生には分かっていないのよ。

いくら予備校の先生でも、自分の恋愛観まで、高校生のままでいることはないのにね。

 

 

本当に915日にメールが来てびっくりしました。

星占い師さんおそるべし

ファミレスでパフェ、すごくいいですね。

ほんと、そういうのでいいんです。

会って不都合があるなら、会わなくてもメールだけでもいいんですけどね。

うまくいかないですね。

あのメールは破壊力ありました。

あまりこんなこと言うもんじゃないけど、18年前の自分がお気の毒で泣けてきます。

私は先生だけを見てきたけど、先生は受け持ちもなかった私のいったい何を知ってるというんでしょうね。

 

静岡にいるのもあと僅かという時、卒業と入学のお祝いをしようと言ってくれた人がいました。こんな気持ちで大学生になってもろくなことがないから、何もかも捨てて生まれ変わって東京に行きたいと思ったんです。他に適当な相手がなかったので、この人に無理を言って頼み込んで関係を持ちました。

考え方がぶっ飛んでますが一種のショック療法です。自虐的ですね。相手はすごく嫌そうでしたがしっかり対応してくれました。世のつがいたちはこんなことばかりしてるのかと驚愕したものです。

おかげさまで無事大学生になり、一応恋愛する機会もありました。あまり上手くいきませんでしたが。

 

 

ぶっ飛んだ高校生だったわね。成績は良かったんだろうけど。

確かに、こういうのを自虐的というのだろうね。ずいぶんと引きずってしまったわね。

たぶん、卒業する頃は、すぐに忘れられると思ったんでしょうね。

金星、火星、冥王星♇が180度凶角上一線にならぶアスペクトが、2つあるからね。まぁ、私は品なく、ダブル変態エロ星と呼んでしまったけど。2つもあると、引き付け力が半端じゃないんだろうね。今でも後ろ髪が引かれているわけね。

タイムマシンがあったら、18年前に戻って、ちゃんと気持ちを先生に伝えたいわね。

 

 

過去に戻ってやり直しできたらどんなにいいでしょうね。

中途半端に代役を立てないで本人に気持ちを伝えていればよかったんでしょうね。

代役を立てる時点で間違ってるんですけど、誰もいないからって何が悲しくて知り合いに頼んでしまったのか。交友関係狭すぎ。

時空間の移動は理論上では不可能というわけではなさそうですが、起きた事実を修正できなければ過去に行く意味がない。

 

 

Mさんは、今、旦那さんと、1歳にもならない幼いお子さんと3人暮らし。

そもそも育休中に、起きた恋愛事件なのよね。

スーパーで、昔好きだった先生とばったり出会ったためにね、恋心を思い出してしまったのよね。

ダブル変態エロ星にスイッチが入ってしまったと。そこで粘って、アクションを起こした訳だけどね。

 

育休が終わって、また職場に戻れば、少しは浮いた気持ちから離れられるかもしれない。

 

この地上には、星の数ほど、はかなく消えた恋心があるわけだけど・・・また一つ増えたというわけよ。

 

星占いを使うことで、箱を開けてしまったのかもしれないけど、

 

ときめいた大切な思い出には触れないで、胸の奥の方に箱のまましまっておいた方がよかったかしら。

 

どうなのかしらね。 私にも分からないわ。

 


【小説】俺と花香と黒いカバン

今回は気分を変えて、小説を書いてみました。

星占いに関わることしか書いちゃダメみたいな感じが息苦しくなってきて、自由にものを書きたくなってきたのよね。

もともとそういう人間だし。

星占いを期待されている人は、また次回お願いします。

 

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『 俺と花香と黒いカバン 』

 

午後5時。予定どおり。

夏の蒸し暑さが残る夕方に、ドアホンが鳴った。

俺の住んでいるマンションは、築30年以上の建物で、1階にオートロックがあるような洒落たものではない。ここは3階で、尋ねてくる客は3階の部屋の外の通路まで来なくてはならない。元嫁が、娘の花香(はなか)を連れてきたのだろう。今、花香は5歳だ。

覗き窓の丸いレンズを覗いてみると、誰もいない。

あれ? だけど、下の方にだけ人影の気配がある。

玄関のドアを開けた。湿った夏の風が、蝉の声とともに部屋の中にすーっと入ってきた。ドアの向こうには、麦わら帽を被った、黄色いワンピース姿の花香だ。にこにこした顔で俺を見上げ、一人立っていた。足には履き古したピンクのサンダルだ。

花香自身が入りそうなくらい、大きな黒いカバンが横にあった。エレベーターを使うにしても、ひきずるようにして持ってきたのだろう。もう何度もプールに行ったのか、花香は黒く日焼けしていた。

「一人で来たのか? ママはどうした?」

「下で別れてきた。」

俺は少し驚いた。花香が一人で来るなんて初めてだ。

俺は正直、元嫁のことなんてどっちでもよく・・・会いたいという感情は全くなく、むしろ、会えば、腹が立つ。花香だけが来てくれて、その方がよかった。元嫁も花香もそれを知っているのだろう。だから、花香だけなのを見て、俺は少しほっとした。

「大きな荷物だな。まるで家出じゃないか。中身は何だ?」

俺は黒くて無粋なカバンを持ち上げて、部屋の中に入れた。

「ひみつ。大丈夫だよ。このくらいは持っていられるよ。」

 

7月の終わり頃、娘を預かってほしいと元嫁からメールが入った。離婚した妻のことだ。

元嫁は何か仕事をしているらしいのだが、幼稚園の時間外だったり、さらに民間の託児所が休みだったりすると、俺のところに頼みにやってくる。向こうは、娘と会えて嬉しいだろうという親切心を見せているつもりかもしれないが、単に都合良く、俺を利用しているだけなのは分かっている。

 

娘の花香が3歳の時、元嫁と娘は突然居なくなった。いつものように仕事から帰ってくると、家の中はいつものようではなく、電気も消えて、音も無く、2人の荷物がすっかり無くなっていた。花香が大きくなっても暮らせるように借りた、越谷市内の3LDKのマンションは、がらんとね。

手紙がテーブルの上にあって、花香は私がちゃんと育てますとだけ。

最初の半年くらいは音沙汰無かったが、何となく、連絡があって・・・最初は腹を立てていたが、娘に会えるのがどうしても嬉しくて、月に何度か花香を預かるようになった。

今でも2人がどこに住んでいるのか分からない。

今回は2、3日預かってほしいと元嫁は言ってきた。泊まりで預かるのは初めてだ。

花香が眼を丸くして部屋を見渡した。

「このおうちは明るいよね。」

俺の住んでいる3LDKのうち、リビングと2部屋は南向きだ。開き戸が3つもある。ベランダも広い。なかなか贅沢な作りで、冬でも暖かく、ほとんど暖房が要らない。南側は田んぼに面しているから、夏でも南風が吹いてきて涼しい。3階だから、ベランダの開き戸を開けたまま眠ることもできる。花香は昔、このお家が気に入っていた。

「今夜は何が食べたい?」

「うどんが食べたい。」

俺は少し笑ってしまった。いつもそうだ。花香はうどんが好きで、外食となると、いつもうどんを食べたいと言う。

黒いカバンを開けることもなく、そのまま外へ出た。曇り空なのに、肌に触れる空気が蒸し暑く、気温は高いままだ。車を走らせて国道に出た。その国道沿いに花香とよく食べに来るうどん屋がある。楕円形の黄色い看板が高く、くるくると回っている。黄色地に赤いかかしの絵が描かれている。その下には、そば、うどん、らーめんと目立つよう書かれている。どちらかと言えば価格とボリューム、スタミナめしで勝負する、庶民的なチェーン店だ。まだ時間が早いためか、お客はまだらだった。

テーブル席がいくつもあって、奥には座敷席もある。窓の外には、トラックが絶え間なく走る国道と緑の田んぼの風景が広がっていた。

花香は店に入ると、サンダルをぬいで座敷席に上がった。俺は幼児用の補助椅子を取ってきた。店には黄色とピンクのキャラクターの描かれた椅子があるが、花香はピンクのでないと嫌がるから、いつもピンクの方を持ってくる。

花香も大きくなった。幼児用の座椅子がもうお尻がいっぱいいっぱいになっている。

「別に椅子は、ピンクでも、黄色でも、どっちでもいいよ。」

言うことも大きくなってきた。もうすぐ要らなくなるのだろう。

日替わり定食の書かれたカラフルなメニューが卓の上に置いてあるが、見る必要はない。花香は、これがこのお店で一番美味しいんだよと、夏はいつもざるうどんを頼む。私は、かき揚げ丼とざるラーメンのセットを頼んだ。

「花香がうちで泊まるのは初めてだな。」

「初めてじゃないよ。私、あのマンションに一緒に住んでいたんだもん。」

店の中には、仕事を終えた男衆が入ってきた。とび職だろう。黒の長袖シャツに乗馬ズボン姿だ。タオルを首に巻いていた。

6人席の座卓に俺と花香は向かい合っている。ざるらーめんやざるうどんの器はプラスチック製で、薄緑色していて、よく会社の社員食堂で使われていそうなものだ。ざるらーめんを口にする。昔ながらの冷やしラーメンの汁に似ている。口に入れると、酢醤油の酸っぱさが鼻にまでやってくる。そこに冷たいチャーシューが添えられていて、つけ汁に入れてみるが、肉脂の味が広がる訳でもない。昔から変わらない味だ。俺が子供の頃は、兄と親父とお袋の家族4人でやってきて、兄と取り合うようにして、わいわいと食べていた。よくお袋がから揚げなんかの揚げ物を俺にくれていた。

そんなことを思い出し、自分のかき揚げの一切れを花香のざるの上に載せた。

花香はにこっと笑って、それを口の中に入れた。

「いつから夏休みになったんだ?」

「ええ~っと、今日は28日だから、1,2、3、4・・・。」

花香は指で数え出す。だけれども、頭の中で、カレンダーの日付と数えている数字がごちゃごちゃになってしまうようだ。えへ、と笑っては、また真剣に数え出すが、再び笑い出す。

「あれ、分かんない。9日目?。」

花香は1月の早生まれで、今、年長さんのクラスだ。来年、小学校に上がる。

同じ幼稚園のコウタくんが、ちょっかいをかけてくるようだ。お昼の時間も給食を食べていると、邪魔をしてくる。逆上がりの練習をしていると、いつも自分の使っている鉄棒をコウタくんが横取りしてくるという。思い出した花香は急にむすっとして、息が荒くなって、両手を前に伸ばし、強くグーを握った。

「大丈夫だよ。もう夏休みじゃないか。コウタくんは何もしてこないよ。」

花香は口をへの字にしたまま、目をこちらに向けた。両手はグーのままだ。

たまに幼稚園にお迎えに行っても、他の子は誰が誰だか、名前と顔が一致しない。教室の中で、娘の花香だけがきらりと一段明るく輝いていて、他の子は目に入らないのだ。親とはそういうものだろう。コウタくんって、どんな子だったかな。

「もういいから、食べちまいな。」

「うん。」

花香は、うどんのことを思い出すと、すぐにいつも顔に戻った。背中を反らすようにして器を口に付け、子供用のフォークでつけ汁の中のうどんを口にかき入れた。

「全部食べたよ。つぼパパはぁ?」

器を俺に見せた。中にはつけ汁も残っていなかった。いつもの花香のにっこりとした顔が戻っていた。俺も残っていたざるらーめんの酸っぱいつけ汁を飲み干した。

 

マンションに帰ってきて、ドアを開けると、花香は走って家の中に入っていった。壁に寄り掛かり、背伸びして、カチッと部屋の電気を点けた。ベランダ側の開き戸は、網戸にしていったから、部屋はそれほど暑くはない。田んぼからの涼しい風が吹き込んできた。爽やかな青い稲と、水の匂いがした。

部屋の隅に黒く大きなカバンが鎮座していた。まだそのままにしていたのを思い出した。花香がカバンのファスナーを開けると、ずいぶんと多い量の服が入っていた。

「これ、何日分あるんだ?」

「分かんない。ママがどうなるか分からないから、いっぱい持って行けって。」

「どうなるか分からない?」

花香は俺の顔をしばらくじっと眺めて、顔を伏せた。

「そうだな。これだけ有れば・・・パパが洗濯を毎日繰り返していけば、夏休みの間ずっといられるくらいだな。ははっ。」

花香が少し不安気な顔をしたから、思わず、気の紛れるようなことを口にしてしまった。

俺は、今、時間はある。結構長く預かっていられる。俺の仕事はカメラマンだ。カメラマンと言っても、世界の戦場を駆け巡ったり、ファッション誌を飾るような華やかな者ではなく、結婚式場とか、幼稚園の入学式とか、遠足とか、飲食店のメニューの撮影をするような地味めな者だ。春と秋はかなり忙しい。だが、2、8月はほぼ仕事が無い。今は7月の終わり。暑くなってくると、カメラマン仲間と暇だぁ~、暇だぁ~とぼやいて、次のシーズンのための営業をしていたり、安酒を飲んでいたりする。元嫁はその辺りの事情をよく知っていて、今回の花香を頼んできたのだろう。2,3日と言われ、俺も適当に引き受けたのだが。

「花香は、何日泊まるとか聞いていないか?」

訊ねられた娘は、困惑しているようだ。

「いつ迎えに行くかは、つぼパパにメールで連絡するって言ってた。」

「相変わらず、いいかげんなヤツだな。」

本当に迎えに来てくれるんだろうな、と一瞬に疑ったが、迎えに来ないなら、それはそれでいいのかもしれない。

元嫁は突然出て行って、その後、何の相談も無く、俺のハンコを押した離婚届を役所に出した。親権の話し合いなんて全く無かった。慰謝料とか養育費とかの話も全く無かった。数日後、市役所から離婚の事実を確認する手紙が届いた。その手紙を力なく眺め、不服の申し立ての気力もなく、握りしめて、ごみ箱に投げ捨てた。1年ほど経って、ずっと昔から付き合っていた男の元へ行ったということを知るのだが、それまでは母娘の2人で暮らしているものとばかり思っていた。

娘とともに姿を消した頃は、頭の中が真っ白で、ふらふらして、世界が揺れて、裁判とか、調停とか、そんな事務的なことなど考えられる余裕など無かったのだ。静かな部屋の中で一人沈黙していたが、風呂場では、全開のシャワーを浴びながら、大声で泣いていた。

 

「さぁ、もうお風呂入ろうか。」

花香は、大きな黒いカバンの中から、自分の下着やパジャマを探し出した。

いっしょにお風呂に入るのは、何年ぶりだろうか。

花香が2、3歳の頃はよく一緒にお風呂に入った。クリスマスプレゼントに渡したままごとセットやアヒル、ぜんまいで動くクジラなどを両手いっぱいに抱えて、裸んぼで入ってきた。俺があまり先に入るとのぼせ過ぎて、途中で、頼むから、もう遊びは終わりにしてと何度も頼んだことがあった。時には2人で一緒にのぼせてしまうこともあった。

「花香は一人で服脱げるよな? 万歳するか?」

以前、一緒に入る時は、一人で服を脱ぐことができずにいつも手伝っていた。両手を上げさせ、シャツを引っ張って、時々、シャツの首の穴が花香の鼻に引っ掛かって、上向きに潰れた顔になっていた。その顔がおかしくも、かわいかった。

「大丈夫だよ。もう今は、一人で脱げるから。」

「そうか。じゃ、手伝わない。」

そう言いながらも、ワンピースは腕と頭を上手く抜くことができず、服の内側で固まってしまった。仕方なく、ワンピースの首のところでぐっと押さえて、頭を抜いてやった。花香はよろめいて、こちらに倒れてきた。肌はぺたりと吸い付くように汗ばんでいた。

花香は自分で身体、特に背中を洗うことができず、ボディソープとタオルで身体を磨いてやった。日焼けに水着の跡が残っていた。髪を洗う時は、ずいぶんと汗の匂いがした。少し鼻につんとくる。髪も前より太くなったようだ。濡れた時の指の絡み方が違う。ごわごわするようになった。花香は小さな両手で、自分の泡まみれの髪をごしごしと洗った。一緒に手伝って髪を洗った。身体の大きさも以前の花香とは違い、ずいぶんと成長していた。以前のように、花香のためのおもちゃは置いていない。今の家では、キティちゃんのシャンプーやら、ボディソープを使っているそうだ。花香にとっては、楽しくないお風呂となったかもしれない。

長方形のバスタブを2人で並んで入っていた。

「つぼパパはいつも一人で入ってるの?」

「ああ、そうだよ。他に一緒に入ってくれる人がいないもん。」

「さみしいね。」

「寝る時だって、ご飯食べる時だって、一人だよ。もう慣れたよ。」

 

娘は、俺のことをつぼパパと呼ぶ。俺の苗字は、坪井。だからつぼパパ

元嫁は、花香が3歳の時に家を出て行って、俺と結婚する前に付き合っていた男と暮らしている。結婚している間も、ずっと不倫されていた。でも、俺は鈍感だから気付かなかった。

そして、その男がパパなのだ。

元嫁は娘に区別させるために、俺のことをつぼパパと呼ばせている。

なぜそんなことに気付いたかというと・・・

俺は元嫁の都合良く、時々、娘の面倒をみているのだが、昨年、初めて幼稚園に花香を迎えに行った時、園のスタッフが書類を取り出して、俺の顔をじっと睨んだ。

彼女の前の、カウンターに置かれたその書類が俺の目に入った。

書類は花香のもので、お迎えに来る人の名前と、顔写真が貼ってあった。安全上の問題だろう。1番目は元嫁で、2番目はその男だった。3番目に追加されたように俺の名前と写真があった。

俺とは別にもう一人、男の顔写真があって、俺より順位が先になっていた、ということだ。そのことを元嫁に問うて、元嫁と、その男と、花香が一緒に暮らしていることが分かった。

 

風呂を上がり、花香の髪と身体をバスタオルで拭いてやった。

花香をパジャマに着替えさせる。その時、花香が持ってきた大きな黒いカバンを覗くと、白地にきれいなピンク色の椿の花柄の浴衣が入っていた。大判の椿の花だ。

「浴衣?」

「うん。浴衣。買ってもらったの。」

花香が声を弾ませた。

ワンタッチで着せられる簡易な子供用の浴衣だ。花香は嬉しそうに微笑んだ。

「どうして浴衣?」

「明日の夜、こしがやで花火さんのお祭りがあるよね。それに着ていくの。」

「越谷の花火大会か?」

「うん、それ。浴衣を着るのは、初めてなんだ。」

「そうかぁ、それじゃ、これを着て花火に行かなきゃな。」

花香はにっこりとして大きく頷いた。浴衣の折りしわが少しでも伸びるように、ハンガーで壁に掛けておいた。ピンクの椿柄の浴衣で、独り暮らしの無機質な白いマンションの部屋が、華やいだ。

 

2年近く前に花香と元嫁が出て行って、正直、いつか2人が戻ってきてくれるとどこかで期待し続けている。実家は隣の春日部市にある。そう遠くはない。実家でなくても、本当はどこかに引っ越しをしてもいいのだが、こうして時々花香に会えるから、延ばし延ばしで、つい2年もこのマンションに居続けた。この5階建てマンション。一階は駐車場だから、実質4階には、24世帯が入居できる。

おそらく一人で暮らしているのは俺だけだろう。

窓の外の点々と灯る明かりには、そこに生活する人たちがいて、家族がいて・・・今、俺は花香とこのマンションにいる。

そうこうしているうちに、花香は眠くなってきたようだ。目を瞑っている。

花香の両脇を持ち上げて、布団に寝かせた。すやすやとした寝顔だ。あの大きな黒いカバンを持ってきて、疲れたのだろう。

同じ布団に寝た。隣には花香がいる。外の点々とした光が見える。ウォーウォーというウシカエルの鳴き声がずっと響いている。電気を消して、俺も布団に寝た。うす暗い天井を見上げた。

ふーっと、ため息がこぼれた。

2人で布団に横になっていると、何だか、花香を取り返せたような気分になった。

 

花香が一緒に暮らしているパパという男は、俺には決して近づこうとしない。姿を見せない。花香と元嫁が出て行った時もそうだ。こそこそと連絡し合って、水面下で引っ越し計画を進め、いきなり2人の姿を消させたのだ。

その男は、もともと結婚前に元嫁と付き合っていた男で、そんな男がいるとは知らずに元嫁と付き合って・・・赤ちゃんができてしまった。元嫁は二股を掛けていたということだ。ただその男も、元嫁が俺と付き合っていることを黙認していたという。

その男と元嫁の間でも昔、妊娠があったらしい。ただその男は経済的に子供を育てる自信が無いことから、中絶させたそうだ。仕事はプロの家庭教師をしているという。俺と結婚する前は、元嫁はその男と暮らしていた。元嫁の亡くなった父親が残したマンションに住んでいたのだが、そのマンションにはローンが残っていて、月々の支払いが払えず、差し押さえになって、競売に掛けられる寸前だった。そんな時に、俺と出会ってしまった。

黙認していた男でも、元嫁が俺の子を妊娠したのを知って、さすがに腹を立てたそうだ。で、元嫁のお腹を足で蹴ったらしい。つまり花香の宿ったお腹だ。元嫁はそのことを俺に報告した。

俺はその数日後、そのマンションに行った。男が仕事から帰ってくるのを待った。

男はドアを開けて入ってきて、奥の部屋に行く途中で、顔を伏せるようにして、こんばんはとしらっと挨拶をしてきた。俺の横を通り過ぎる瞬間に、男の腕をぐいっとつかむ。男はよろけて、怯えた目をして、そこまでして、やっと顔を見せてきた。

俺は興奮したままで、男を大声で怒鳴りつけた。

「お腹を蹴ったそうじゃねぇか。まだ生まれていない俺の子が死んじまったら、どう責任取るんだっ。」

男は顔を手で隠し、奥へ逃げようとする。服の背中を握ると、今度は、かがむように座り込み、頭を床に擦り付けるように土下座をしてきた。

向こうもぶつかってきて、男同士のケンカになるかもしれないと思っていたが・・・ただ顔を床につけて伏せたままだった。何度も同じことを言っているうちに、言葉を無くしてしまった。俺は拍子抜けしてした。反抗されないと、のれんに腕押しのようになってしまう。

ただ誤解してもらいたくないのは、俺はそんなにケンカっ早くはない。その前に大声で怒鳴ったのは・・・20代半ばの、仕事で行ったソウルで、ぼったくりの焼肉店に入った時以来だ。

男が俺の前に姿を見せることは、二度となかった。

ただ、虎視眈々とチャンスが来るのをじっと待っていたのだろう。花香が3歳の時、大脱走計画を成功させた。

男は、花香をかなり小さい時から可愛がっていたようだ。本人いわく、中絶した子の生まれ変わりだと。もう一度会って、今度は殴り倒してやりたいところだが・・・もう止めた。

花香には申し訳ないことをした。こんな厄介な環境で生活させて、申し訳ない。

寝息を立てている娘の顔を見ていた。気持ちが安らぐ。

 

カーテンを閉めずに眠るから、夏の朝は早めに明るくなる。湿っぽいどんよりとした風が入ってきていた。外は曇っていた。今の時間は7時くらいかな。

別に用事も無いので、目が覚めても、動くことなく、布団に横になったままでいた。花香も眠ったままだ。と思っていたが、パッと目を開けた。こちらを向いて、

「つぼパパ、おはよう。」

くしゃくしゃの顔をしながら、笑った。

なんだ、起きたのか。もう少し、寝ていてもよかったのだが。

ピンクのチェック柄の半袖パジャマが起き上がった。髪の毛が所々立っていた。

 

パンと目玉焼きで軽い朝食を済ませた後は、しばらくテレビを一緒に観ていた。退屈したのか、花香はもの惜しそうに外を眺め始めた。外は灰色の雲が覆っていた。強い日差しはなく、出歩いても楽そうだ。

「あの、いつもの公園にでも、行くか?」

「うん。」

「何しようか?」

「砂場に行きたい。」

夜の花火大会までには十分過ぎるほどの時間があった。いつもの公園。花香が家に居た頃は、よく一緒に行っていた公園だ。歩いて7,8分ほどのところだ。

俺と花香はサンダルを履いて、公園へ歩いて行った。花香はかわいい麦わら帽子にクジラさんのTシャツ、水色のパンツ。手には、押入れに残してあった砂場セット。カラフルなプラスチック製のバケツとスコップ。近くの100円ショップで買ったものだ。その公園は、小さなグランドも併設しているような大きなところで、緑が多い。楠やいちょうの木も茂っている。蝉がぎんぎんと耳に突くような鳴き方をしていた。雲に隠れて陽は出ていないが、湿度は高く、じめじめと暑かった。真夏の公園にはほとんど人がいなかった。数人の子供たちが自転車に乗ってきて、ブランコで遊んでいる程度だ。

 

花香と砂場で遊んだ。バケツとスコップを使って、一緒に山を作って、水を流したり。昔、3歳ぐらいの花香は砂場遊びが好きだった。スコップで砂を掘り進み、そこを通りますようと言いながら、一緒に砂まみれになって、砂場の土木工事をしていた。でも、今の花香は砂場遊びよりも鉄棒の方に関心が高いようだ。砂の山、川を作り終えると、自分から手を洗いに行き、そのまま鉄棒に向かった。3段の高さがある中で、一番低い鉄棒だ。茶色い鉄の棒を握ると生温かった。

花香は両手で鉄棒をつかみ、前へ大きく蹴りだす。身体が前に投げ出されて、振り子のようにぶらりと鉄棒の下に戻ってきた。

俺は、幼稚園児なら逆上がりができなくても当然と考えるのだが、花香は負けず嫌いで、同じクラスの誰かができていて、その子を見て羨ましくなったのだろう。コータくんだろうか。

俺は花香の隣に立って、腕で支える用意をした。

「ほら、もう一度やってみろ。」

「うん。」

花香が脚を蹴り上げた瞬間に、俺は娘のお尻を持ち上げ、腹部を鉄棒に引っ掛けた。

「いいか、ただ飛び上がるんじゃなくて、両足とお腹を鉄棒に乗せるようにするんだ。」

花香の顔は逆さまのまま、頷いた。髪が逆立っている。頬を赤くし、何度も膨らまして、息が苦しそうだ。

「そのあとは、自分の身体を持ち上がるように、足を振って。」

鉄棒にお腹を押さえられた体勢のまま、花香は宙で足をじたばたさせる。でも、上体はなかなか持ちあがって来なかった。

「どうやってやるのぉ?」

苦しそうな声。俺も上手く伝えることができず、語気が強くなって、足で身体を回すようなジェスチャーをして、

「えい、えい、えい、えいっ、だよ。」

花香は両足を同時に勢いよく振り出した。

「えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい・・・。」

「もっと力を入れて。起き上がろうとするんだ。」

花香は大きな声を出し、両足を曲げたり、伸ばしたりして、

「えいっ、えいっ、えいっ、えいっ、えいっ、えいっ、えいっ・・・。」

まだ力が足りないようだ。俺は花香の脚の振りに合わせて、身体を持ち上げてやった。

花香は鉄棒に上体を乗せたまま、

「やったーーーーっ、できたよ。」

「できていないけど、そんな感じでやるんだよ。」

「なんか、できたよね。」

花香は鉄棒を降り、また、前に身体を蹴り出す。俺はまた両腕で娘の背中とお尻を持ち上げ、再び鉄棒の上にお腹を引っ掛けてやった。花香の背中は汗で濡れていた。少し動くだけも汗ばむ陽気だから、仕方ない。俺も花香も額に玉のような汗をかいていた。

「ここから、えい、えい、えいっ、だね。」

「そうだ。えい、えい、えい、えいっ、だよ。」

花香は脚を空に向け、えいっ、えいっ、えいっと吠えながら、大きく振る。でも、苦しそうな表情になると、俺が力で回してやった。

何度もやっているうちに、見事に、お腹を鉄棒に引っ掛けることはできるようになった。でも、上体を回して、身体を上げるところまではいかなかった。まだコツが上手くつかめていないのだろう。二人とも汗だくだった。

「もういい、今日はこのくらいにしよう。十分にできるようになっているよ。」

実際、鉄棒に両足とお腹を持ち上げられるようになったのだから、大きな前進だ。

花香は顔中の汗をタオルで拭って、にこっと俺の顔を見上げて、

「なんか、逆上がりって、おもしろいね。」

えっ? 花香が妙なことを言い出した。

「逆上がりしている時って、足が宙に浮いていて、雲の上を歩いているみたい。頭がくるくる回って、ふわふわとして、空に飛んでいるみたいだね。」

「気持ち良かったのか?」

「うん。気持ち良かった。」

花香の手は赤くなって、汗で湿っていた。その手を握って、娘の歩速に合わせ、マンションにゆっくりと帰って行った。マンションまでの道は、田んぼが広がっていて、歩きながら、田んぼの中を覗き込むと緑色のウキクサがびっしりと水面を覆っていた。

 

着信音で目が覚めた。俺のスマホにメールが届いたようだ。元嫁からだった。

帰ってシャワーを浴びて、昼食を食べた後、鉄棒の疲れで2人とも眠ってしまっていた。

明日の午後、花香を迎えに行く。

待ち合わせの場所は、レイクタウンのイオンモール。いつもの場所だろうから、アウトレットの建物だ。

「私のところにもメールが入っていたよ。ママ、明日迎えに来るんだ。」

花香の子供用の携帯にもメールが来ていたようだ。花香は、携帯の画面をじっと見ていた。

「どうした? 何かあったか。」

「決まっちゃったんだって。」

「何が?」

「引っ越しすることになるんだ。」

「引っ越し?」

今回預かったのは、旅行のためなのだそうだ。その旅行というのは、引っ越しのための準備で、

「パパのおばあちゃんちに行くんだって。」

「どこ?」

「わかやまけん。」

元嫁と一緒に暮らしている男の祖母、祖父の家のようだ。容体が悪くなって、パパという男が行くことになったらしい。そこで、元嫁と花香も連れて行くそうだ。祖母、祖父が2人を連れていくことを認めるかどうか、交渉のための旅行だったようだ。その家に入って、一緒に住むのだから・・・元嫁は再婚することになるのだろう。花香とは遠く離れてしまうのだろう。

頭の中から血が引いて、ボーっとしてきて、一瞬、視界が狭くなった。身体から力が抜けて、崩れて、畳の上に座り込んでしまった。

外を見ると、パラパラと雨が降っていて、道路は黒く濡れていた。

「あれっ。雨だ。これじゃ、越谷の花火は中止かな。」

「えっ、やだよ。花火さん、やんないの?」

花香は窓際へ走る。初めて浴衣を着られると思い、楽しみにしていたのに。淋しい知らせの後に、またがっかりとさせられる天気になってしまった。娘は、ぼんやりと力が抜けた顔で、外の雨の様子を眺めている。花香は沈んでいて、その姿を見たら、諦めさせることはできなかった。

「夜までには止むかもしれない。さ、浴衣を着よう。」

「・・・うん。浴衣、着る。」

花火はダメかもしれないが、浴衣を着ることはできる。

俺は笑顔を作った。花香にTの字になるよう、腕を横に上げさせた。外は暗く、雨は少しずつ強くなっていった。ピンク色の帯を巻く。白い壁が光を照り返すマンションの部屋の中で、娘はピンクの椿の浴衣をまとうと、ぱーっと見違えるように女の子らしくなった。

「おお、かわいいじゃないか。」

「ええっ、どんな感じ?」

肩を押して、姿見の前へ連れていった。全身を眺め、花香ははしゃぐような笑顔を見せた。

「浴衣、かわいいよね。」

「じゃ、雨だけど、行くか。」

「うん、行く。ねぇ、夕ごはんはどうする?」

「向こうで、屋台のものを食べればいいじゃないか。」

正直、まだショックが大きくて、くらくらして、とても食欲なんて無かった。

引っ越すという言葉が頭の中でぐるぐると巡って・・・思考が停止しそうになる。身体まで動かなくなる。・・・必死で考えないようにした。

花香は下駄が無かったので、履き古したピンクのサンダルのままだ。全身ピンクだらけだ。俺は浴衣なんて洒落たものを持っていないから、半袖シャツに半ズボンに黒いサンダルだ。

1本の傘をさして、2人でせんげん台駅まで歩いていった。乗るのは、わずかに3駅ほどだ。走る電車の窓は雨で濡れて、風景が歪んでいた。

越谷駅で降りると、大勢の人たちで混雑していた。浴衣姿の人ばかりだった。外を見ると、本格的の雨だった。地面には叩き付けてはね返るような雨で、道路に水が溜まっていた。花火を見に来たお客は皆、混雑する駅で立ち往生していた。本当なら、屋台を楽しんでいる時間だろうに。

「花火さん、やらないのかな。」

花香は不安そうにつぶやいた。

「まだ時間は有るからさ。まだ分からないよ。」

駅からは、商店街やロータリーが見える。外はばたばたと雨が地面や屋根を叩く音が鳴っていた。

電車が停まる度に、駅の構内は人が溢れてきた。少し雨が弱くなってきたところで、俺と花香は傘をさして屋台を目指して歩き始めた。サンダルの足は濡れて冷たかった。

通りには賑やかに、色とりどりの屋台が並んでいた。雨のおかげで人はまばらだった。

雨水が屋台のテントから滴る中、俺は大好物のいか焼きと麦茶のペットボトル、花香はチョコバナナを最初に買った。喉の渇きを麦茶で潤して、いか焼きをくわえながら、他の屋台を物色していった。家族連れやカップル、中学生たち。流行なのか、浴衣姿の人も多くいた。皆、傘をさしながら、屋台を楽しんでいる。

あちらこちらからこりゃ、花火大会は中止じゃないの?といった会話が聞こえてくる。

一つ傘の下で、浴衣を来た花香が俺の顔を見上げてくる。俺は、その度におどけた顔をしてごまかしていた。それでも、娘の澄んだ目でじっと見られると、見透かされているようで、

「仕方ない時は、仕方ないよ。笑って・・・お家に帰ろう。」

いい思い出にしたかったが、そうは上手くいかないのかな。

「雨なんだから、みんな、隅田川の花火大会に行ちゃえばいいのにね。」

この越谷花火大会は、毎年隅田川の花火大会と同じ日に行われる。隅田川の方は、花火の数もずっと多いのだが、立ち止まって花火を見ることができない。関東圏の人が集まってきて、びっしりとしている。俺は一度行ったことがあるが、やっぱり昔から見ているこの越谷花火の方が好きだ。こちらも結構混雑するのであるが、隅田川よりはマシなのだ。

「あれ、雨が止んだのかな?」

他のお客たちが傘を閉じ、手に持って歩いている。空はまだどんより灰色の雲が覆ったままだが、少し明るくなった。花火大会の15分前になって、雨が収まった。

「よかったね。花火さんはこれで行われるよね。」

花香の浴衣は少し雨に濡れて、だらりとしていた。俺のTシャツも髪も濡れていた。娘はぎりぎりのところで止んでくれた雨に感謝しているようだった。曇った空を仰いでいた。

開催が決まったのか、アナウンスが流れてきた。協賛の会社などの名前が呼ばれていた。

カウントダウンの練習のアナウンスがあり、

「5、4、3、2、1と言ったら、元気な声で・・・」と聞こえ、そのまま本番のカウントダウンに入っていくと、花香はにこにこして、大きな声を出して

「5、4、3、2、1・・・」と一緒に数を数え出した。

「点火〜〜〜っ!」

アナウンスの声が元気よく声を上げた。

・・・しかし一向に花火は上がらず、堤防からは煙だけが上がっているのが見えた。

「花火さん、ぜんぜん、上がらないねぇ。雨で火がつかないのかな。」

花香は不安そうに言う。周囲からも、上がらないなぁという声があちこちから聞こえてきた。

「本当だな。雨は止んでくれたのにな。」

「けむりがいっぱい出てくるだけで、花火さんが出てこないよ。」

花香の肩を両手で抱いた。小さな、湿った肩だった。娘の体温が、濡れた浴衣を通して手の平に伝わってきた。

「・・・大丈夫だって。」

その瞬間、空に吹き上げるように黄金色の火柱が立って、どどーんという大きな音を鳴った。その上には大輪の赤や白、黄色の花火がばばっと破裂した。

観客からおお~っという声が上がった。花火は早いテンポで、連発で上げられていった。空で、赤や、青、黄色の花火が大きな音をたてて、ぱーっと広がった。元荒川の水面にも、にじむように花火が写っていた。花火の光が花香の顔を照らした。何発も何発も打ち上げられた。

「花火さん、大きいねぇ。」

「そうだ。花火は大きいよ。」

「うん、音も大きい。きれいだね。」

30分もすると、また雨が降ってきた。花火は今さら止められないぞ、といった意気込みか、本降りになる前に終わらそうというのか、花火を上げるテンポ、勢いが増したようだ。観客たちは傘をさし始めた。雨が降る中、観客たちは空を閃光で覆う花火に見とれていた。

花火が雨空を彩っている最中に、花香は炭坑節を踊りだした。

「掘って、掘って、また掘って。かついで、かついで・・・」

花香は炭鉱節を幼稚園で習っている。幼稚園で炭坑節を教えるのに、そのポーズの意味を伝えているようだ。花香は炭坑節の月が出た、出たという歌詞よりも、この掘って、掘ってと歌っている方が楽しいのだろう。

「おして、おして、開いて。ちょちょんがちょん。」

そう言って、花香は両手を叩いた。そして、また頭から繰り返した。掘って、掘って、また掘って・・・。雨の中、大勢の人たちががやがやと集まっていて、賑やかな屋台が色とりどりに並んでいて、夜空にはババーンと大きな音を立てる花火が連発していて・・・ただ立っているだけでも大変な込み具合の中、5歳の花香は髪を濡らしたまま、お気に入りの浴衣を着て、炭坑節を踊っていた。夏の祭りというのはどんなものでも、花香にとっては、とりあえず炭坑節を踊る場所なのだろう。

初めての浴衣姿の花香が雨の中、楽しそうに踊っているのを見ていて・・・引っ越すという言葉を思い出してしまった。

ドドーン。ドドーン。

俺は傘を閉じた。雨が頭から当たり、髪、顔に垂れていった。口の中に流れ入ると塩っぱかった。涙を止めたくて、歯を食いしばった。

赤や黄色、青、緑の花火の光がまばゆく夜空に咲いて、散っていった。絶え間なく輝く花火の光も、屋台の電灯も、すべての風景が滲んでいた。

今年の花火大会は予定より早く、1時間半ほどでフィナーレを迎えた。花火が連発して打ち上げられ、最後に白い大輪の花火が大きくきらめいて、その後で、ドドドォーン、パラパラという音が遅れて響いてきた。

越谷の花火大会は終わった。俺にとっては短くて、長い時間だった。

 

東武線の越谷駅での大混雑でなかなか電車に乗られず、満員電車に潰され・・・せんげん台駅からは2人傘をさして、マンションに帰った。一緒にお風呂に入り、花香を寝かせた。布団の上に寝かせると、花香はすぐに深く眠り込んだ。

明日の出発までには乾くだろうから、花香の服を洗濯機に入れて回した。空いている部屋に、花香の服と、ついでに洗った俺の服を干した。ピンクの椿の浴衣、クジラさんの絵柄のTシャツ、俺のTシャツが並んでいた。

今夜は、花香と一緒に眠ることができる。それ以上は考えないようにした。

 

翌日、手をつないで一緒にマンションの階段を下りていき、大きな黒いカバンを持って、車に積んだ。みんみん蝉が何重奏にもなって鳴き続けていた。花香にチャイルドシートのシートベルトを掛ける。今日もまた曇り空だ。レイクタウンのイオンモールに向かう。花香は膝に麦わら帽子を置いていた。レイクタウンにはいくつもの棟があって、その1つ1つが大きい。未だに俺はこのすべてを廻ってはいない。でも、よく行くアウトレットの棟は知り尽くしている。

アウトレットの2階からはすぐ隣の遊水地が見える。大きな遊水地だ。埼玉スタジアムがすっぽりと入るくらいの大きさなのだ。小さな青い帆のヨットもゆったり浮かんでいた。

アウトレットの棟にはあまり壁や屋根が無く、遊水地からの涼しい風を肌で感じることができた。

花香はお昼に好きなハワイアンのハンバーガーを食べ、機嫌がいい。

柵の間から遊水地を見て、花香は

「きのうの夜は、ここからも、花火さんが見えたのかな。」

「ああ、そうだな。雨だったけど、たぶん、見えたんだろうな。」

昨日のことを花香は思い出し、楽しかったねと笑い、

「海は広いなぁ~、大きいなぁ~」と歌い出した。

「これは海じゃないよ。ため池というか、湖というか・・・そういったものだよ。」

「海じゃないのは分かっているよ。私、本物の海を見たことがないもん。」

花香は柵に両手を掛けて遊水地を覗いていた。俺は花香の肩を抱いた。

「和歌山に行けば、きっと本物の海を見られるよ。たぶん、行く途中で見られるんじゃないかな。新幹線でも、電車でも、車でもどれで行っても、海は見られるよ。」

遊水池から吹いてくる風は、少しひんやりとしていた。

「もう、つぼパパに、あんまり、会えなくなるね。」

「・・・そうだな。」

 

元嫁がテラスに現れた。Tシャツにデニムのパンツ姿だ。帰ってきて、引っ越しの準備でいろいろと忙しくしているのだろう。

花香は大きな黒いカバンを持ち上げて、うんしょ、うんしょと元嫁の方に歩いて行った。俺の方を振り返る。元嫁は、花香の頭を撫でた。

「花香を預かってくれて、ありがとう。突然だけど、私たち、お盆までに引っ越すから。」

聞きたくはないが・・・元嫁に詳しく話を聞くと、今、一緒に暮らしている男、パパの祖父祖母の家に行くそうだ。親戚中で、誰かが高齢の祖父祖母の面倒をみなければならなくなり、一番暇そうなパパに白羽の矢が立ったということだ。パパからすれば、家賃も光熱費も掛からないし、生活の援助もしてもらえるだろうと期待している。問題は、花香のことだが、祖父祖母からすれば、連れ子の女と再婚しても、孫として素直に喜べない。ところがパパという男は、実は、自分の子と言い張ったそうだ。元嫁と結婚前に付き合っていて、いろいろ複雑になって、よく分からず、父親として認めていなかったが、実は、自分の子だったというようにしたらしい。和歌山に行ったら、3人とも名字がそのパパのものになるそうだ。

「新学期になったら、花香はどこかの幼稚園に入るのか?」

「大丈夫よ。のんびりした所だから、幼稚園はどこでも余裕あって、たぶん入れるわよ。」

あと半年ほどで幼稚園を卒園するから、それまではここに居ればいいじゃないかと言おうと思ったのだが、そうもいかないようだ。

「じゃあな。花香。向こうの幼稚園に行ったら、友達をいっぱい作るんだぞ。」

寂しそうに笑顔を作り、花香はその小さな手を振った。

「つぼパパ。さようなら。バイバイ。」

「いつか会える日が来るさ。また一緒に公園で遊ぼう。」

「うん。」

夏休みの日曜日のレイクタウンには大勢のお客さんがいた。賑わう人込みの中を2人は去って行き、姿を消した。花香と大きな黒いカバンは見えなくなった。

 

日が経つにつれ、もう会えない、もう戻ってくることはないという現実が強く感じられるようになっていった。窓からは、ただ単調な蝉の鳴き声が入ってくる。

花香と元嫁とパパは、和歌山県に行ってしまったのだろう。

記録的に続く曇天の下、俺はただ蒸し暑い夏を過ごした。力が抜けて、毎日、ぼーっと横になっていた。どうしても外に出たい時はパチンコ屋に行った。せんげん台の駅の周辺にはパチンコ屋がいくつもある。パチンコのど派手な画面と音楽は頭の中の嫌なことを掻き消してくれる。でも、家に帰ると広い部屋に一人だ。忘れたいことが多過ぎて、忘れたい風景が目に浮かんできて、だるくて、横になると身体が動かなかった。

 

そんな日々を送っていて、9月になった。元嫁のLINEから珍しくメッセージが来た。画面を見ると、動画だ。

そこには、花香が鉄棒に向かっている動画だ。

「ママ、ちゃんと撮ってね。」

小さく、音声が聞こえてきた。蝉の鳴き声も入っていて、聞き取りにくい。

花香は小さな画面の中で、鉄棒に向かって、自分の身体を蹴り上げた。腕で鉄棒に身体を引き寄せ、お腹を鉄棒に引っ掛けた。

「えい、えい、えい、えい、えい・・・・。」

花香は鉄棒の上で、両足を力強く大きく振って、もがいていた。宙に浮いた左右の脚を交互に。精一杯、空を歩こうとしているのかもしれない。

「えい、えい、えいっ、えい、えい、えいっ、えいっ、えいっ、えいっ、えいっ・・・。」

花香が背を伸ばし、上体を回して鉄棒の上に持ち上げた。逆上がりが成功した。そして、胸を張って、真っ赤な顔をカメラに向けた。

あどけない笑顔を見せた。

30秒ほどの動画だった。他にメッセージは無かった。

この鉄棒のある場所は、新しい幼稚園だろうか。それとも和歌山にある公園だろうか。

俺は何度も、花香の逆上がりの動画を繰り返し見た。

 

俺は自分の部屋を見渡した。白い壁。畳。外へと目を向けた。

風にそよぐ田んぼの風景がずっと向こうまであって、どこからか空になっていて。

8月にはほとんど見られなかった透き通った水色の青空が広がっていた。

 

俺は、この思い出の詰まった3LDKのマンションを引っ越そうと決めた。

もう一緒に暮らすことはないのだろう。

澄んだ風が通り抜けた。

 

半年後には、カラフルなランドセルを背負って、花香は小学校に通うのだろう。

 

(おわり)

 

             

9月の上旬はちょっと注意してね。

9月上旬ごろには、ちょっと星の数の多い、ヤバいTスクエアができるのよ。

9月上旬注意報①

(このチャート図は、分かりやすくするため、必要な星だけを表示しています。)

いて座の木星♃、うお座の海王星♆は90度凶角を形成したままなのだけれど、そこへ、おとめ座に4つも星がやってきてしまう。

で、6個の星でTスクエアが形成されてしまうわけよ。

 








9月上旬注意報②で、もう一方で、できるのが、強い吉角のグランドトライン。

太陽☉、水星☿、金星♀、火星♂という脚の速い星だから、6つの星が同時ということはないでしょうけど、まぁ、5つの星で120度吉角が組み合わさった正三角形、グランドトラインができるのよ。

 

つまりね、強い凶角と強い吉角が同時にできてしまう、というわけよ。

星は全部で10個しかないのに、そのうち、8つはTスクエアか、グランドトラインに関わっている。

なかなかこんな星並びは無いわね。

 

まぁ、よく星占い師は、ブログなんかで、 “水星逆行だから注意!” とか、煽ることをよく言ったりするけど・・・星の現象としてはまったくその通りなんだけどね。私がそれを煽って警告するほどのものかどうか、という判断は、その “レア度” みたいなところで、事の重大さを見ているところがあるのよね。

例えば、水星☿の逆行なんて、年に3回ぐらいあるのよ。1回につき、だいたい1ヶ月間ぐらいだから、合わせて年3ヶ月間くらい。

なんかヤバいことが起こるかもしれないけど、それって、毎年、年に3回あるくらいの “慣れた” ヤバいことみたいな。

まぁ、あんまり記憶に残るようなヤバいことじゃないんだろうな、と思えてくるわけよ。

逆にさ、なんかヤバいこと、起るんじゃないかしらって、わくわく期待しても、それほどのことが起こらなかったなんて、皆さん、経験済みでしょ。年に3回もあるようなレベルのことだからね。

逆行で言えば、まぁ、木星♃なんて、毎年、だいたい同じ時期に4ヶ月間ぐらい逆行するけどね。

こうなってくると、 “季節もの” という感じで、いちいち大騒ぎするほどのことではないでしょ、と思うわけよ。

 

でもね、この星並びって、数十年に1度とか、もしかすると、一生に一度だよね、というのは、記憶に残るような、ヤバいことが起こる可能性が高い。

東日本大震災の時は、木星♃、土星♄、冥王星♇がTスクエアを作っていたからね。木星♃は1周するのに、12年かかる。土星♄は30年。冥王星♇は240年以上。つまりこの3つの星がTスクエアを作るなんて、百年に1度くらいなわけですよ。こういう時は警戒しなければならない。ちなみに2011年の3月は、そのTスクエア上に水星☿まで乗ってきていてね。そもそも木星♃、土星♄、冥王星♇の3つの星の凶角アスペクトは、経済的に大きなマイナスがあることを意味するからね。そこに水星☿までかかってしまったから、甚大な交通マヒが起こったという感じかしら。

 

こんな星並びがあると、警戒しなければならないけれど、ただチャートを見ても、どんなことが、どのくらいの影響力をもって起こるのか、見当がつかないのよね。

 

で、今回の6個のTスクエアの星を見ると、太陽☉、水星☿、金星♀、火星♂、木星♃、海王星♆という顔ぶれ。木星♃は入っているけど、あんまり “財” という感じはしないわね。

水星☿、火星♂が入っているから、口ケンカとか、議論での衝突かしら。

金星♀、海王星♆が入っているから、メンタル系のダメージじゃないかしらね。かなりの独りぼっち感かしらね。

 

で、もう1つのグランドトラインの星の見ると、太陽☉、水星☿、金星♀、火星♂、土星♄、天王星♅という顔ぶれ。ただ、この6つが同時にできることなく、太陽☉、水星☿、金星♀、火星♂の星が順番に作っていくという感じなのよね。よく重なって、5つの星でのグランドトラインかな。

グランドトラインは、強い吉角だけど、土星♄なんかが入ってくると、ハッピーさというか、華やかさが出てこないのよね。安定感はあるだろうけど。

 

6個の星のTスクエアと、5個の星のグランドトラインが同時にできるというのは、確率的にどのくらいのものかしらね。百年に一度かしら? 数百年に一度? 正直、私の頭では計算できないわよ。

 

悪いことばかりではなさそうだけど、何が起こるのか、よく観察しておきたいわね。

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つぼぼ