前回、西洋占星術は、西洋人の思想をベースにしているから、“誰にでもできる”“ ”分業化“ ”マニュアル化“ がしやすく、そのため、協業することで技量の進歩をさせやすいはず・・・なんてことを書かせてもらった。
チームやユニットを作って、相談者相手に3人くらいが鑑定をしている姿なんてのも面白い。すでにネット上では、ホロスコープチャートを作るサイト、サインの意味を解説しているサイト、サビアンの説明をしているサイトなど、分業化している。こんなことができるのは西洋占星術の特質でしょう。

でも、分業化、マニュアル化することで、次に出てくる可能性というのが、AI人工知能による自動鑑定化ではないかと、今回、私は妄想半分に言いたい。

西洋占星術はホロスコープチャートを使って鑑定する。そのチャートを読み取る主なポイントは、太陽〜冥王星といった10個の星が、①どの星座(サイン)に入っているか、②どのハウスに入っているか、③星同士がどんなアスペクトを作っているのかという3点。その3点が描かれているデータなのです。ただやみくもに幾何学的な図が描かれているわけではありません。実はシンプル。そして、その①〜③に関しては、もう既にたっぷりデータはできている。市販されている本や国内外のサイト上を見ればいくらでも出てくる。

ただね、①だけでも10の星が12星座のどこに入っているかを書き上げると10の文章が出てくる。②でも10の文章が出てくる。そうなると、20の文章が出てきて・・・となると、互いの矛盾するような意味が生じてくるのですよ。一方では、穏やかな性格と書かれ、もう一方では活気あるとかね。一方は、節約家と書かれ、もう一方は見栄っ張りとか。
星座はその人の性格面と表し、ハウスは実際のどんな生活面で出てくるかを表す。・・・さらにアスペクトときて、こうなってくると情報が多過ぎて・・・現実にはいったいどんな姿の人間なのか、わけが分からなくなる。

で、星占い師という人間は何をしているかというと、“経験的”にそれらのデータ情報を整理して、相手に伝えているのですよ。
“経験的”というのは、現象が出やすいものとか、出てくる順位というものが、何となく頭の中に整理されているということ。例えば、MC(天頂)に火星があれば、たとえ、蟹座に金星があっても、攻撃的、男性的な性格として表面に出やすい。これは私の経験による考えですがね。
MC火星は、男性的でマッチョな性質を社会で出しやすくなる。蟹座に金星があれば、家庭愛情で、どちらかと言えば女性的になる。この2つが出ると、男性的なのか、女性的なのかよく分からない。矛盾するように思われる。実は本を読んでも、出やすい順位が書かれていない。
でも、星占い師として経験を積めば、お客さんから経験談を聞かせてもらったり、鑑定の反応を多数見ていて、MC火星の方が強く出る、周囲の人にそういった印象を与えていることが分かってくる。
だから私は、星占いをするには、本を読んで知識を覚えるだけではなく、実践が必要で、数多くこなすことを講座等で伝えている。もちろん、ただ鑑定数を増やせばいいわけではなく、1つ1つを経験値として、データを整理できる能力を高める財産ことが大切だ。逆を言えば、自分の鑑定結果を一方的に伝えて、ただ数だけを増やしていても、その星占い師の腕は向上しないのですよ。

つまり、星占い師がやっていることは人間的な作業ではあるが、どう星占い上の星座、ハウス、アスペクトなどのデータを繋ぎ合わせるのかということ。相手が男性か、女性か、既婚者、未婚者か、年代は、などなど相手に合わせ、自分の過去の鑑定経験と照らし合わせて、どう星を読めば、当たり感が出てくるか。平たく言えば、“それ、当たっています!”と驚かせられるか。そのために、脳みそをフル回転させ、データを引き出し、繋ぎ合わせていると。そして分かりやすく整理して、お客さんに提供している。

こうシンプルに書いてしまえば、誰でもできそうな気がすることだろう。ただ覚える知識量、データ量が結構多く、さらに整理するための経験値もそれなりに必要と。

で、このデータを当たりやすい形につないでいくパターンというのは、おそらく、自己学習機能を持ったAI 人工知能がやがてできるようになるのではないかと思う。今、AIって言葉流行りつつあって・・・かつてのITという言葉のように、当たり前になっていくのでしょうけどね。
で、西洋占星術は、分業化、マニュアル化、つまり知識の共有化をしやすい面を持っているので、これらをベースにすれば、あとはAIがそれを整理するパターンを自分で発見し、習得、修正してくれれば、自動鑑定できるのだろうなと。

夢物語と思われるかもしれない。
でも、私は、かつて同じような社会の進化を耳にしたことがある。私の知り合いに気象庁に勤めていた人がいた。その人の話であるが、1990年頃、気象庁は気象予測にスーパーコンピューターを導入した。それまでもコンピューターによる気象予測の試みをしていたが、計算速度が追い付かず、まったく役に立たなかった。1990年頃になって、やっと実用化を目指せるほどの性能を持ったスーパーコンピューターが出てきたということだ。まぁ、現在のパソコンに比べれば、“スーパー”とはとても呼べないものだろうけど。計算方法は、日本及びその周辺の大気の状況を平面、高度とも一定の間隔おきに網の目のように、温度や気圧、湿度、風向きなどを調べ、それらを入力する。大気が膨張などから、どのように雲が発生し、どの地域にどんな天気をもたらすかを予測するのだ。
そして実際の天気と照らし合わせ、当たっている部分、ハズれている部分を見て、それらのデータの使い方、予測の計算式を修正していく。
今のAIのような自己での学習機能が無かっただろうから、その修正においては気象庁の職員が手入力でしていたことだろう。
で、そのスーパーコンピューターは気象予測をし始めるのだが、当初はハズれてばかりで、予報士たちに馬鹿にされていた。今でもそうだが、人間の予報士が各地の気圧や風向き、温度の書かれた表を見ながら、天気予報をしていたのだ。
全国各地の気象観測データは気象庁が発表するものなので、同一のものである。それを各予報士がどう解釈していくかということによって、天気予報が異なってくる。予報がいろいろあっても、もちろん、正解は1つである。各予報士が毎日毎日、当たったりハズれたりして学習していき、経験を重ねて的中率を高めていくという、実は、勘と経験がものをいう職人の世界なのだ。
ところが気象衛星など観測技術が発達し、温度、湿度、気圧、風向きなどの集められるデータ量が膨大に増えた。予報士たちは、あまりのデータの量の多さにとても頭の中では整理ができなくなった。また自分の天気予報がハズれたとしても、事細かくデータを照らし合わせ、反省することすら難しくなった。だって、すぐに翌日の予報をしなければならないし。早い話、時間が足りない。人間の記憶量にも限界があって・・・翌年の同じ季節の頃には、もう忘れていたりして。
一方、スーパーコンピューターは着実に膨大なデータを簡単に読み取り、修正し、経験値を圧倒的に高めていく。日々成長し、過去のデータも的確に引き出し、活用できる。
その結果、1995年ごろには、的中率において人間の予報士を越えてしまったそうだ。わずか5年ほどである。そして、気象庁は、人命に関わる大事な台風の進路予報においては、コンピューターの予測を用いると決定したそうだ。
今では、市町村単位、1時間単位でのピンポイントの天気予報が高い的中率で行えるようになった。25年前では考えられない進歩だ。

膨大なデータ、サンプルが集められれば、的中率においてコンピューターは人間を越えてしまうという例だ。

では、話は星占いに戻って・・・人間に合わせて修正をするためのサンプルデータをどう集めたらよいか。90年代のスーパーコンピューターより進んだ現在のAIでも、膨大なデータは必要なままのだ。コンピューターに活躍してもらうにはデータを集めるしくみを作らねばならない。
という話になるのだが・・・これも似たような例がある。

今、音声認識という技術がある。テレビCMで宣伝している、スマホについている機能ですよ。スマホに向かって、喋るだけで、検索などをしてくれたり、メールを打ってくれたり。日本語ではまだ完成度は低いけど、出始めの頃に比べて、かなり精度が向上したと思う。
この音声認識はどう開発されたか。
人間の言葉は発する人によって、音が高いだの、低いだの、いろいろある。その人間というものを相手にしている分、音質に幅がかなりある。世の中には妙な声の人もいれば、話すスピード、アクセントが多様だ。
どこまでズレが生じるものなのか、類似性をどう見い出せばよいのか、そのためには、膨大な数の人の喋り方をサンプルデータとして集める必要があった。

グーグルはそのデータを集めるために、無料電話番号案内のサービスを始めた。
日本でも、電話番号案内のサービスはある。104だ。昔は無料だったが、今は60~150円かかるし、もうネットで簡単にお店や会社の電話番号が調べられる時代なので、104を使う人はぐっと減ったことだろう。
もともとアメリカでも番号案内は有料のサービスだった。それをグーグルは無料で始めたというわけ。2007年から2010年まで続けられた。GOOG-411という。有料だったサービスを無料で使えればね、そりゃみんな使うわけですよ。私はいったいどれほどの人が利用したかは知らないが、アメリカは日本の人口のおよそ2倍だし・・・2年半あれば・・・数十万件? 数百万件だろうか?
とにかくグーグルは膨大な音声データを集めることに成功し、AIで類似性を見つけさせて、今の音声認識のシステムを作ることに成功したというわけ。そして今なお、スマホで音声サンプルデータを集め続け、もっと完成度を高めていってると。そんな膨大なデータのことを、流行の言葉でビックデータをいうけどね。

同じように、西洋占星術でも、サンプルデータを集めることで、AIに学習、修正させて、①どの星がどの星座に入っているとどうなるのか ②どの星がどのハウスに入っているとどうなるのか ③星同士のアスペクトはどんな現象をもたらすのか の的中率を高めさせることができると思う。

そのサンプルはどう集めるかだが、これも最初にグーグルと同じく、無料鑑定サイトを作ってみてはどうだろうか。ただデータを集めるためには、当たっているかどうかをお客さんに答えてもらう必要はある。性格面だけでも複数の項目に分ける必要があるだろう。
未来予測に関しては・・・ “未来のことは当たっているかどうか分からない” というかもしれないが、過去が当てられれば、西洋占星術ではデータとして十分に価値がある。というのも、例えば、1960年生まれの人の2010年の運気を当てられたのなら・・・、2010年というのは、現在の2017年から見れば過去であるが、もし2005年に同じように、“2010年の運気は?”と尋ねられて答えたら、それは“未来”だったはずである。
私たちたちは単純に数字を入れて、ホロスコープチャートを作って鑑定しているだけなので、今、20XX年という現在の年月は関係ない。つまり過去を当てられたら、未来予測のための十分なサンプルデータになる。
だから、予測したお客さんの過去もAIに、当たっているどうかを告げてもらい、間違っていれば、予測の計算式を修正していく。

現在、有料自動占いサイトは多く存在し、客引きのために、“一部無料”鑑定なんてことをしている。実際にはその一部無料鑑定では、その一部すら読むところが何も無かったりして、がっかりさせられることがほとんどだ。そのくせ、利用者の称賛の声ばかりが強調されていて・・・。これでは、客引きとしても成功していないと思う。
“無料”の使い方としてはもったいない話だ。
もしAI自動鑑定を最初のバージョンの作ることができたら、無料でサービスを提供し、お客さんに答えてもらうことで、サンプルデータを集めていくことができる。
それはまるで、グーグルが最初にアメリカで無料の電話番号案内サービスを始めた時、他社が“それで儲かるの?”と半ば侮られたが、実際には音声認識という巨額の利益を生むシステムを作るための投資だったことに似ている。

星占いの無料鑑定サイトを公開すれば、一日で万単位の利用者は見込めるだろう。占い好きの人間は多いからね。電話番号案内より利用者が多いかもしれない。
つまり1日で万単位の鑑定の経験値を持てるということだ。1ヶ月もあれば、どんなベテラン占い師の経験値もはるかに凌駕する。データが集まればいいというものではない。AI 人工知能がビックデータを整理して、西洋占星術の占い方を修正、再構築していってもらわなければならない。そうすることで、さらに日々的中率も高くしていくことだろう。

ソフトバンクにあるペッパーのような人型ロボットが、相手の音声だけでなく、表情まで画像認識で読み取れるようになれば、対面鑑定もAI化できるだろう。相手のリアクションの大きさも、実は私たち占い師にとっては大切なデータだ。人型ロボットが会話で対面鑑定する方が自然体で相手の答えを得ることができるだろう。もしすべてのペッパーが音声認識機能を付けて、対面鑑定できるようになれば・・・全国にいったいいくつのペッパーがあるだろうか。それらが1つのサーバーでつながっていて、鑑定データがそのサーバーに集められるとしたら・・・仮に1000台だとしても、人間占い師の1000倍のスピードで経験値を高められることになる。
そもそも人間の脳みその能力では、そんな膨大なデータを整理して、学習することは無理。今の1000倍のお客さんが診ていたら、学習どころではない。

しかも、データの保存期間が、人間の “寿命” で尽きることがない。AI占い師は、人間よりもはるかに速いスピードで経験値を高め、そのスピードのまま半永久的にノンストップで成長していく。天文学的な数での思考錯誤を重ね、占い鑑定の精度は、無限大に向上していくということだ。
そもそもそれほどの天文学的な量の人間のデータがあれば、星占いとは別に、生年月日との性格、運勢などの統計学的な法則性が見つけられるかもしれない。
それはもう“占い”とは呼ばれないだろう。

星占いは、星の動きから人間の性格や運命を読み取ろうとする “試み” だ。
星の動きが、人間の性格や運命とリンクしているのか・・・そんなことは、生命の不思議さと同じくらい未知の領域だ。
西洋占星術は、2500年以上の歴史がある。ハズれてばかりならば、とっくに消えていることだろう。とは言っても、星の動きと人間の性格、運命とのリンクが、原因と結果というように見えないだけに絶対的な信頼を置くことができない。

ただ、運勢や人生を知りたい、制覇したいという人間の欲求が尽きない限り、占いは無くないだろうし、より高度化に進化していくだろう。未知の領域への好奇心と挑戦は止まらないし。

で、西洋占星術は、そういった進化への拡張性がかなり含んでいると思うのですよ。