前回の「聖職者」でも書いたのだけれど、私の知り合いが、ホームレスの自立支援のNPOに入っていて、毎日のように無償ボランティアで働いているという関係で、私も広報面でお手伝いすることになったのよね。
でも、手伝っているうちに、ついつい星占い師としての探究心が湧いてきて・・・、つまりさ、どういう人がホームレスになるのかなぁって、興味が湧いてきたのよね。

私がその市民活動の事務所にいた時、見た目は若そうのだけれど、やっとホームレスから抜け出したという男性がいたのね。職業訓練途中ながら、NPOが保証人になってアパートを借りることができたというので、その手続きに来ていたのよ。ここではAさんとしておくけど。乾いた紙のように表情の薄い人だったな。
派遣社員として働いていた工場を解雇され、宿舎も追い出され、ネットカフェなどで夜を明かしながら、日々を過ごしたみたい。次の仕事を探すも見つからず、とうとうお金が底をつき、名古屋市栄の公園で寝泊りするようになったと。その後、このNPOの人に声を掛けられ、一時的に風雨をしのぐシェルターに入居。
地道に、人生やり直し~、やがてそのシェルターも抜け出し~、・・・これからアパートが借りられるというのに、NPOの人が“良かったね”と声を掛けても、何かうっすらと笑みを浮かべているだけなのよね。


で、興味が湧いてきて、私は年齢を訊いたわけさ。
41歳。正直、見かけより、ずいぶん年齢がいってた。意外。そこで、いつもの手で“私と同じ年じゃないですか”(嘘)といって、月日も訊き出す。
このAさん。1971年9月11日生まれ。全然、おっさんやで。
その場で、彼に見えないようにiPadでホロスコープを開く。生まれた時間は適当に10:00などと記入する。
ということで、皆さんも関心がある方はいつものごとくホロスコープを見てみましょう。
http://www.m-ac.com/double.php

まずは内側の性格の部分を見てみましょうか。
さっと目に付くのは、財運の木星♃と感情の海王星♆が重なっていること。まさにこれは、バブル星。しかも誤差が1度もない。しかしよく見ると、知性の水星☿と凶角90度を形成しているのだな。ここが残念。もう5日後に生まれれば、水星との凶角がなく、純粋に強力なバブル星だったのに。バブル星で生まれた人は、実力以上に周囲からちやほやされる、多くの場面で“なんで、俺が?”みたいな抜擢のされ方をするんだな。何の心配もなく、浮かれ気分で生きていける星だったのだが・・・。
木星と水星、海王星と水星がともに90度の凶角なんだけど、これは、大雑把で思考が上手くまとまず、さらに楽観的な人間を形成してしまう。
でも、水星は知性面だから、性格面では出てしまうけど、天の力が大きく働く木星や海王星に比べると、それほど生活環境を左右させない。Aさんは、子供の頃からお金には困らなかったはず。何もしなくても、周りから楽しい誘いがいっぱいきていたはず。木星×海王星0度の12年に一度形成される最強のバブル星。かなりの幸運星。こんな人、どのくらいの割合でいるのだろう。本来、羨ましいくらいなんだけど~。


なぜ、ホームレスにまで陥ってしまったか?
では、ダブルチャートで、現在の時間を彼が解雇されたという2009年7月を見てみましょう。日付は7月1日とさせてもらいましょうか。
ご覧いただきましょう。この時、現行の木星と海王星も重なっています。バブル星を形成しています。リーマンショック後ですが、この時期は景気が少しは上向いたっけ?まぁ、そんな世の中全体の話はさておき、Aさんへの影響を見てみると、彼のバブル星組と現行のバブル星組が凶角90度を形成しているのだな。誤差はまだ3度ちょっととはいえ、これはかなりの大ダメージ。なかなかないわよ。そりゃ、こんなパンチを食らう人は、生まれた時に木星と海王星が重なって生まれた人ぐらいだからね。
ここまでくると、完全に不可抗力だね。もがいても無駄。バブル星の2組が凶角で、W(ダブル)どん底星。生まれた時の水星も見ると、魔のTの字になっているしね。これは、尋常なじゃない。何も起きないはずがない。
この時点から、現行の木星は足が速いのでさっさと行き去るのだが、海王星はゆっくりさんなので、Aさんの生まれた時のバブル星と現行の海王星は凶角90度のどん底星のまま続いた。さらに2012年6月15日のホロスコープを見ると、生まれた時のバブル星の凶角180度位置に木星、凶角90度位置に海王星が位置するのよね。生まれた時の水星も合わせると、魔の十字架になってしまっている。
これもかなりキツイ。どこぞの国のミサイルが飛んできて、直撃をくらうようなもの。
もともとね、生まれた時の木星と海王星が重なり、バブル星を形成していて、金銭に関しては不自由しなかったと思うのよね。しかもよく見ると、太陽と金星も5度以内で重なっているし。どちらかと言えば、上の方の生活水準を保ってきたんじゃないかしら。で、水星がバブル星と凶角90度になっていて、大雑把さがあったとしても、なんとか豊かに暮らせたのよね。


でもね、Aさんに話を聞くと、40歳を越えた今まで、年金を払ったことが無いんだって。しかも失業保険にも入っていなかった。これね、完全に世の中を甘く見てきた証拠なのよね。言い方を変えれば、甘くても生きてこられたのよ。いくら大雑把でも、そこまで将来のことを考えていない人って珍しいわよね。払うお金が無いのなら、話は別だけど。世代的にも、高卒なら、バブルの頃に就職していたろうし。まぁ、あの頃は、フリーターの方が正社員より収入が良かったという奇妙な時代だったけど・・・。
完全に脇が甘かったのよね。この運の良さが、人を弱くしてしまったのよ。だから生活防衛力が育たなくなる。そこへ持ってきて、本来、幸運力のあるバブル星の凶角に、強い星が来ると、その力が逆ベクトルになり、他の人が出遭わないような強力な破壊的ダメージを受ける星並びとなる。まさに“カウンター”よ。カウンターパンチ? 魔のカウンター攻撃?
守りの弱いところへ、一生に一度来るかどうか(確率的には五生に一度来るかどうかかな)の大試練の星並びが形成されたら、まぁ、甘ちゃんは一発で奈落の底へ落ちていくわけさ。

それでも、Aさんは、もともとの運気がいいものだから、どん底星を抜けると、ちゃんと人が救ってくれたわけなのよね。それで、自立支援を受けて、アパートを借りて、再出発を果たしたと。
もう2度とこんなWどん底星は来ないけど、ちゃんと反省して、学んだかのかなぁ。そうすれば、自分の弱点の大雑把さと過剰な楽観さをクリアできるだろうに。もう2度、あの規模の試練は来ないだろうけど、そこそこの試練はまだあるからね。学んでいないと、また痛い目に遭うんだな。自分の悪いところは直すようにしないとね。
あと、人生、やっぱり、幸運の量と試練の量を計りにかけると皆同じになるのかもね。



もう一人、60歳を越えた女性なんだけど・・・。元ホームレスの方なんだけど、今はこのNPOの自立支援のスタッフとしてボランティア活動しているのよ。体格のいい、よく笑う明るいおばさん。ホームレスの人に、無料で食事を提供する食堂で活動していた。自分が助けられて、やっぱり自分のように困っている人を助けたいとボランティアをする。この団体にはそういう人が多いのよね。いわゆる悪徳の貧困ビジネスではなくてね、その証拠に、ほとんどの人に生活保護申請はさせていないから。すべて寄付と自治体からのわずかな支援金だけで賄っていて、慢性的な赤字の市民団体。で、ボランティアの人も、その事情を分かっているから、無償でせっせと平日だけでなく、土日は炊き出しなんかも手伝っている。
話は戻すけど、この女性をBさんとしましょう。
Bさんの生年月日は、1951年8月23日。
さて、同じくホロスコープを見てみましょう。


ひと目で目につくのが、木星と海王星の凶角180度位置。これは、“どん底星”。バブル星のまったく逆のものです。幼い頃から、経済的、家庭環境などで苦労する星の相です。さらに、天王星も加えて、“魔のTの字”を形成しています。これは、まず間違いなく、困難な道を歩む人です。
しかし、困難な道を歩むからこそ、それらの試練を正面から乗り越え、自分をあらゆる障害に対して抵抗力、精神力を付けるので、逆に“強運”の持ち主となる可能性を秘めています。土星、太陽の凶角の苦労星と同じく、創業会社の社長などに多い星並びと言われています。
昭和26年生まれと言ったら、「Always 3丁目の夕日」の(子役の)世代だからね。日本全体が貧しかった時代だけど、あの頃の貧困層なんて、生きることそのものがかなり苦しいからね。食糧事情はビッグダディの家なんて比べものにならないくらい、口に入れられるかどうかのレベル。
そんな苦労をしたかどうかというはるか昔の話は聞いていないけど~。


このBさん、なぜ、ホームレスになったかというと、・・・夫婦仲が悪かったのです。
どうにも、夫のことが嫌で、何度も家出をしてきたそうで。そして7回目の家出で、ついに、完遂?成功? でも、最初は友人宅や安宿に泊まるも、ついに所持金が底をつき始め、名古屋市の金山付近で女性ホームレスになると。それでも家に帰らなかったんだから、よっぽど、夫のことが嫌いだったのね。もう娘さんは独立していたそうだから、ある意味“熟年離婚”のようなものかな。もしくは極端な“別居”だね。

でも、女性ホームレスって大変なのよね。夜、寝られないだってさ。いくら年齢がいってても、襲われるのが怖いからね。だから、一晩中、歩き回ったんだってさ。寒く、雪が舞うような夜でも、マッチ売りの少女ならぬ、おばさんが、持っている服全部着て夜が明けるまで、深夜歩き続ける。そして夜明けが一番寒いんだな。公園の障害者用トイレで寒さに耐えたりしたんだって。季節が暑くなってくると、今度は、汗をかいて、だんだん身体が臭くなる。そうすると、自分が臭いのが分かるから、人に近寄らなくなっていく。自分が臭くて、嫌われる・・・。その前に見た目で嫌われるだろうと思う人もいるでしょうが・・・。でも、話を聞くと、ホームレス仲間の中には、昼間はビシッとスーツを着るおじさんもいたんだって。お風呂もちゃんと入って清潔にしているホームレスもいるんだよ。Bさんは、その公衆浴場すら、恥ずかしくて行けなかった。でもさ、基本、女性ホームレスは、冬も夏も大変なんだよね。Bさんは、そんな生活を8か月ぐらいして、自立支援の人に声を掛けられ、シェルターに入居したと。夜、布団の上に寝た時は、本当に嬉しことも忘れるくらい爆睡したんだって。だから、今でも、Bさんにとっては、布団の上に寝ている時が至高の喜びの時間。

皮肉なことに、そんなしんどいホームレス生活をしている間に、大嫌いな夫は亡くなっていたんだって。シェルターに入ってから、娘から聞いたそうな。

木星と海王星と天王星の魔のTの字。財運も悪いけど、考え方もエキセントリックなところがあるのよね。Bさんは60歳近くになっても、直らなかったんだな。財運も性格も。

生まれつき財運の悪い人は、子供のうちに苦労するから、節約家、ケチになって、自分の財産を守る術を身に着けるのね。お金の話が一番分かりやすいだろうけど、性格なんかも、弱点は、社会で揉まれているうちにだんだんと克服されてくることが多いのよ。
そして“強運”になっていく。
だから、個人鑑定していても、苦労星を持つ20代の人に、“今、どん底星で財運が厳しいけど、あんた、貧乏は慣れているから、平気でしょ?”とか言うと“はい、お金がないのは、なんとかなります”とか、“お金はいくら苦しくても、底をついたことがありません”とか答える人が多いのよね。守りが硬く育つのよ。お金に苦労してきているから。
つまりシングルチャートで、財運において苦労星を持っている人は、ダブルチャートで、現行の星による財運の苦労の時期が来ても、すでに免疫ができているから、強い抵抗力がついているのよね。だからダメージが小さい。これこそ“強運”。だから、会社を立てても、堅実な運営ができてしまう。
最近は、シングルチャートで吉角の多い人より、凶角の多い人の方が、将来有望のようにも感じたりする時があるわね。


それにしても、Bさんは、これまで困難も多かったろうけど、直さなかったんだな。
それで、人生の後半の後半でヘビーダメージを与えられたと。本当は、それまでの困難を受けているうちに、自分の弱点を直し、長所を伸ばしていかなきゃ、いけなかったのにね。
人間が歳をとるというのは、そういうことでしょ。

でも、今度はさすがに直すかな。夫も亡くなったしね。ホームレスの人たちに無料で食事を与える食堂で毎日、ボランティアしているしね。


他の元ホームレスで、今、ある施設で所長をされているおじさんがいてね。その人は、もと大工の棟梁だったんだけど、不景気で仕事が無くなり、あらゆるところから借金して、姿を消すように逃げたんだって。その不景気というのが、石油ショックというから、いったいいくつなんだろう。その所長いわく、“ホームレスは、この世から逃げた人間”。
今、一番の願いは、生きているうちに兄弟に会って、土下座して謝ることだってさ。
その元棟梁で、元ホームレスの所長さんが「人間、苦しい時に後ろ向きになって、悪いサイクルに入ってしまえば、底の底まで堕ちていく。だから、いくら逃げ出したいくらいつらい時でも、ヤケになってはならない。どんな時でも、建設的でなきゃいけない」って言ってたよ。

悪いサイクルか・・・。
誰だって、1つくらい思い当たることがあるんじゃないの?
沁みるね。


元大工の棟梁さん、今は、一度崩れた人生を必死に建て直しているんだなぁ。
もう70歳前後でしょ。